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新幹線、際立つ存在感 数字で見る長距離列車の現在地

鉄道の達人 鉄道ジャーナリスト 梅原淳

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JR旅客6社のうち、JR東日本JR西日本JR九州の3社は月ごとの旅客運輸収入を公表している。新型コロナウイルス禍からの回復途上にあるため、2022年度上半期は各社好調だ。前年比でJR東日本が40.7%増、JR西日本が55.4%増、JR九州が50.1%増を記録した。

3社が公表した数値には内訳があり、まずは定期券と定期券以外とに分けられる。定期券以外はさらに細かく、近距離と中長距離とが設けられている。この「近」と「中長」とはそれぞれ何キロメートルを指しているのだろうか。

距離によって利用する交通機関の傾向は変わる

国土交通省が5年ごとに実施している「全国幹線旅客純流動調査」では300キロ未満が近距離、300キロ以上700キロ未満が中距離、700キロ以上が長距離であるという。15年度調査では移動距離ごとの旅客数や航空、鉄道、幹線旅客船、幹線バス、乗用車等と交通機関別のシェアが示されている。参照した資料は数値の省略が多く、記載された割合から筆者が人数を算出した点を断ったうえでまとめると、グラフのようになった。

すべての距離での旅客の総数は17億9600万人で、うち鉄道は3億1000万人。シェアは17.3%である。最も旅客数の多い交通機関は乗用車等の13億4200万人で実に74.8%を占めていた。このほか8900万人で5.0%の航空、5000万人で2.8%の幹線バス、300万人で0.2%の幹線旅客船と続く。

鉄道は中距離でシェア大きく

中長距離の状況はというと、旅客の総数4億1400万人中、鉄道は1億7500万人でシェアはトップの42.2%。2位は乗用車等で1億3300万人の32.0%、航空は8900万人の21.6%、幹線バスが1400万人の3.4%、幹線旅客船は300万人の0.8%となる。航空と幹線旅客船の旅客数がすべての距離と300キロ以上とで同じなのはご覧の通りだ。両者ともにほぼ中長距離以上の旅客しか存在しないのである。

さらに細かく見ていこう。中距離の旅客の総数3億600万人のうち、鉄道は1億5100万人とシェアは約半数の49.4%であった。次いで乗用車等の1億2500万人で40.7%、航空は1500万人で4.9%、幹線バスは1200万人で4.0%、幹線旅客船は300万人で1.0%と続く。

長距離の700キロ以上は旅客の総数が1億800万人であった。最も旅客数が多かったのは航空の7400万人で68.8%を占める。鉄道は2位となり、2400万人でシェアは21.8%だ。以下、乗用車等は800万人で7.5%、幹線バスは160万人で1.5%、幹線旅客船は40万人で0.4%であった。

鉄道と航空とでは速度の差が大きく、航空のほうが圧倒的に速い。そのなかではシェア21.8%の鉄道は健闘しているようにみえる。特に700キロ以上1000キロ未満では航空も鉄道も1900万人でほぼ互角だ。

いま挙げた長距離で鉄道の旅客数が多いとか、シェアが高いと言われて、もしかしたら多くの人は意外に思うかもしれない。殊に鉄道好きの人ほどその傾向は強いと筆者は考える。なぜなら現在700キロを超えるJR在来線の旅客列車は東京駅と島根県の出雲市駅の間の953.6キロを結ぶ特急「サンライズ出雲」、それから東京駅と香川県の高松駅との間の804.7キロを結ぶ「サンライズ瀬戸」の1往復ずつしか存在しないからだ。

夜行寝台列車の「サンライズ出雲」「サンライズ瀬戸」に次いで運行距離が長い在来線の特急列車は「にちりんシーガイア5・14号」だ。博多駅と宮崎空港駅との間の411.5キロを小倉、大分経由で結ぶ昼間の特急列車である。

300キロ以上を走る特急は案外少ない

JR在来線には特急であっても中距離の範囲となる300キロ以上運転の列車は案外少ない。表にまとめてみた。

「にちりんシーガイア」など9種類の特急列車は合計55本。何しろ八王子・大船・新宿・東京の各駅と成田空港駅とを結ぶJR東日本の特急「成田エクスプレス」だけで54本設定されているので、いかに希少価値が高いかわかるであろう。その「成田エクスプレス」は最も距離の長い八王子―成田空港間の3・7・50・52号で133.7キロとなる。

ちなみにJR在来線で最も距離の短い特急はJR九州の国分―鹿児島中央間を日豊線・鹿児島線経由で結ぶ「きりしま81・82号」で33.7キロだ。

もうお察しのとおり、鉄道が300キロ以上の区分で計上した旅客数の多くは新幹線によって成し遂げられている。先の調査から計算した結果を細かく見ると、700キロ以上の長距離を鉄道で移動した人たちが2353万人いた。このうち、大都市を中心に長距離を結ぶ新幹線の列車を利用した人の数がどのくらいいたのか推測してみよう。

新幹線利用が主力

東海道・山陽新幹線東京―博多間を結ぶ「のぞみ」で700キロ以上に該当する主な駅間は東京・品川・新横浜―岡山・福山・広島・徳山・新山口・小倉・博多間、そして名古屋―小倉・博多間だ。都道府県間の流動表で鉄道の移動人数を見てみよう。

東京や名古屋は周辺県からの利用もあると仮定して、東京・栃木・群馬・茨城・埼玉・千葉・神奈川の1都6県と岡山・広島・山口・福岡の各県との間(神奈川県の小田原地域―岡山県間は除く)の移動人数は年間748万8000人、愛知・岐阜・静岡・三重の東海4県と福岡県との移動人数は年間118万7000人で合わせて年間867万5000人。移動経路によって違いが出てくる可能性はあるが、単純比較すると、長距離移動した2353万人全体の4割弱(36.9%)に当たる。

山陽・九州新幹線新大阪―鹿児島中央間を結ぶ「みずほ」「さくら」の場合、京都・大阪・滋賀・兵庫・奈良の2府3県と熊本・鹿児島両県との間、岡山県―鹿児島県間の移動が該当する。こちらは合わせて107万5000人。全体に占める割合は4.6%だ。

東北・北海道新幹線で東京―新函館北斗間を結ぶ「はやぶさ」は関東の1都6県と青森県青森・津軽地方、北海道道南との間(埼玉・栃木両県―青森県間を除く)を移動する人が該当する。合わせて137万1000人が利用していて、全体の5.8%に当たる。

「のぞみ」「みずほ」「さくら」「はやぶさ」だけで700キロ以上乗車している人の数は1112万1000人で、全体の半数近く(47.3%)を占めた。残りは他の県からこれら各列車に乗り継ぐ人であるとか、新幹線同士や新幹線と在来線とを乗り継いだ人たちであろう。

昼間に運転されている在来線最長の特急「にちりんシーガイア」で411.5キロを乗り通すと、宮崎空港駅行きの5号が5時間48分、博多駅行きの14号が5時間45分を要する。新幹線で最も長距離の「のぞみ」の東京―博多間に乗車しても5時間程度で着いてしまう。鉄道が中長距離でも一定のシェアを確保しているのは、在来線の特急列車の2倍以上のスピードを出す新幹線のおかげだろう。

梅原淳(うめはら・じゅん)
1965年(昭和40年)生まれ。大学卒業後、三井銀行(現三井住友銀行)に入行、交友社月刊「鉄道ファン」編集部などを経て2000年に鉄道ジャーナリストとして活動を開始する。「JR貨物の魅力を探る本」(河出書房新社)、「新幹線を運行する技術」(SBクリエイティブ)、「JRは生き残れるのか」(洋泉社)など著書多数。雑誌やWeb媒体への寄稿、テレビ・ラジオ・新聞等で解説する。NHKラジオ第1「子ども科学電話相談」では鉄道部門の回答者も務める。

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