東急不動産、ニセコリゾートを刷新 ゴンドラや新ホテル
東急不動産が北海道のスノーリゾート・ニセコを大規模リニューアルする。グループで運営するホテルを改修するほか、スキー場に10人乗りのゴンドラを建設する。ホテルや商業施設新設も検討する。2017年度に約7億円だったニセコ地域での純利益を、30年度には2倍以上へ伸ばす。
東急不動産は5日、北海道倶知安町と連携協定を結んだ。冬場に偏るニセコ観光の通年化などに取り組む。記者会見した倶知安町の文字一志町長は「世界に誇る国際リゾートとなるには、企業だけでなく住民も支えていく必要がある。地域性を発揮してニセコブランドを確立したい」と語った。
東急不動産の田中辰明取締役は「ニセコの独自性をどう出していくか。交通インフラなどエリアとしての機能は世界に学ぶべき点がまだある。町と一緒になって考えていきたい」と述べた。
連携協定は東急不動産にとってニセコ刷新プロジェクトの号砲になる。まずニセコを代表するスキー場「ニセコ東急グラン・ヒラフ」(倶知安町)の4人乗りリフト1本を10人乗りゴンドラに替え、ゴンドラを2本に増やす。24年春以降に解体工事を始め、24年冬から新ゴンドラを運行する。
ゴンドラの運行速度はリフトの1.5倍で1時間当たりの輸送人員は従来より1000人多い2800人に増えるため、混雑緩和につながる。ゴンドラは夏場も動かし、マウンテンバイクや山の散策などのアクティビティーに活用する方針だ。リフトは設置から30年以上が経過しており、老朽化が進んでいた。
グラン・ヒラフ周辺の「ニセコひらふ地区」で宿泊施設も充実する。スキー場に直結する「ホテルニセコアルペン」(同)を大規模改修する。同ホテルは1986年に開業し、総客室数は125室。23年春から館内のレストランや売店なども含めて全て休館にして工事する。
高級ホテル建設や商業施設の建設も検討する。事業費はそれぞれ未公表だが、東急不動産ホテル・リゾート開発企画本部の友井俊介本部長は「ニセコひらふ地区に高級ホテルを設けて富裕層の受け皿をつくりたい」と意気込む。
近隣のニセコHANAZONOリゾート(同)には20年に米ハイアットグループがホテルを開いた。ニセコモイワスキーリゾート(北海道ニセコ町)には高級リゾートホテルを展開するアマンリゾーツブランドの宿泊施設が23年オープンする。
倶知安町の延べ宿泊者数は新型コロナウイルス禍前の18年度時点で127万6000人泊で、このうち4割近くにあたる46万5000人泊を外国人客が占めた。新型コロナ後を見据えた海外資本によるコンドミニアム建設が進み、倶知安町やニセコ町では地価高騰と住宅不足が深刻だ。
30年度に北海道新幹線が札幌まで延伸すると、倶知安駅は東京と1本でつながる。不動産開発には地域の理解が欠かせない。今回の連携協定は東急不動産が地元と向き合う姿勢を示したともいえる。
(井田正利)
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