日本政策投資銀行関西支店は、2026年に近畿2府4県で1泊10万円以上する高級ホテルの客室数が約1300室不足するとの見通しをまとめた。インバウンド(訪日客)が新型コロナウイルス禍前の水準に戻った上で、客室稼働率を85%として試算。富裕層の受け皿となるホテルが足りなければ域外流出や消費額の減少などにつながる恐れがある。
2人1室利用時に1泊10万円以上の高級ホテルの客室について、近畿全体で26年には需要が4585室に対し、供給が3273室にとどまると試算。府県別でも全てで需要が供給を上回った。特に大阪府は不足数が958室と最多だった。
一方、高級ホテルの進出が相次ぐ京都府は需要が1431室に対して供給が1373室と需給がほぼ均衡する結果となった。兵庫県は需要が490室、供給が386室と見通した。
コロナ禍収束後は宿泊にかける費用の増加が見込まれる。政投銀などが世界各国で海外旅行経験者に行っているアンケートでは、1人1泊300米ドル(約4万円)以上支払ってもいいとする回答率が21年は全地域で19年から上昇。東南アジアは4.9ポイント上昇の15.1%、東アジアは1.9ポイント上昇の16.8%だった。
政投銀関西支店は、大阪府・市が進めるカジノを含む統合型リゾート施設(IR)整備について、「実現すれば富裕層を含めた観光市場が拡大していくと考えられ、高級ホテルの整備は観光立国・関西の成長につながると期待される」とした。