栃木県教育委員会は、かねてから検討していた県立高校の海外修学旅行の解禁に踏み切ることを決めた。同県ではこれまで修学旅行の目的の一つに「日本の歴史や文化を理解すること」を掲げており、
修学旅行先は国内に限定していた。しかし国際理解教育への要望は各方面から強まっており、県教育委員会は昨年11月に修学旅行先としての海外を容認する方向を示した。
さらに今年1月には平間幸男教育長が、県立の高校・盲学校・ろう学校・養護学校の修学旅行先に海外も含むことを記者会見で明らかにした。
県教育委員会のこの方針を受けて県内各校は海外修学旅行の実施に向けて動き出すことになるが、県立高校の場合、2年次の修学旅行が一般的で、準備期間も必要なことから、
実際には平成19年度の修学旅行から海外へ出かけるケースが発生するものと思われる。
栃木県では国際理解教育の推進に向けてさまざまな検討を重ねてきた。昨年11月25日に「次期国際化推進プラン」の議題で開催された栃木県国際交流懇談会では、
委員の一人から「観光だけでなく、例えば企業、農業、文化、学校の交流等、もう少し幅広く捉えられるように、交流という意味を持たせられないだろうか。<中略>ところで、
本県の海外への修学旅行については、来年度から可能になるのか」との質問があった。これに対して事務局側は「本県の修学旅行については、国内という規定があるため、現在、
海外にも行けるような環境を整えるために検討を進めているところである。改正に向けて、今年度中に、教育委員会で検討をいただきたいと考えている」と答えていた。
また今年2月17日に発表された「とちぎ教育振興ビジョン(二期計画)」では「社会の変化に対応した学校教育の推進」を柱の一つに据えており、
「国際社会の中で日本人としての自覚を持ち、主体的に生きていく上で必要な資質や能力を育てます。<中略>広い視野から異文化を理解し、
共に生きていくための資質や能力を育成します」とうたっている。
また「とちぎ教育振興ビジョン(二期計画)」では「社会の変化に対応した学校教育の推進」の具体的な内容について、「国際社会を積極的に生き、
世界で活躍できる人材を育成します」として、5ヵ年に実施する事業を挙げている。この中で、国際理解教育の推進としては「国際理解教育推進校等における姉妹校などとの生徒間の交流を支援する<米国インディアナ州等との姉妹校交流推進>」と「中国浙江省の高校生の受入れと、
本県高校生の派遣を隔年で実施する」ことが示されている。このことから当面は中国や米国への海外修学旅行、研修旅行が有望といえそうだ。
昨年は東京都や茨城県が海外修学旅行を解禁し、今回栃木県が全国で46番目に海外修学旅行を認める県になったことで、未だに海外修学旅行を解禁していないのは全国で埼玉県だけとなった。
国際理解教育の必要性は広く認識されるようになり、一方では国を挙げて海外からの旅行者誘致に取り組む時代である。国際交流の促進が当然な流れになる中で、
ようやく栃木県が海外修学旅行解禁に踏み切ったことは、遅ればせではあるものの、時代の流れに則した決断であるといえる。
逆に未だに海外修学旅行に踏み切れない埼玉県は国際理解教育に不熱心と受け取られかねない。同県が海外修学旅行の解禁を決断するのも時間の問題と考えられる。
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