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MICEケーススタディ:オペレーターの活用-クオニイジャパン

  • 2011年6月7日(火)

ネットワーク活用し、参加者のモチベーション高めるMICEを

(左から)クオニイジャパン代表取締役社長のビクトー・ロペス氏と、東日本営業本部営業部長の石井和夫氏

 クオニイジャパンはクオニイ・トラベル・グループの一員として、企業の視察旅行などMICEの手配を50年以上前から取り扱っているオペレーターだ。ヨーロッパを中心にインド、アフリカ、アメリカなどでのMICEを提案している。MICEを実施する際、旅行会社はオペレーターをどう活用できるのか。代表取締役社長のビクトー・ロペス氏と、東日本営業本部営業部長の石井和夫氏にきいた同社の取り組みを通して探る。

代表取締役社長のビクトー・ロペス氏

 クオニイジャパンはオペレーターとして、企業の視察旅行や報奨旅行の提案、手配から、国際会議などの参加者の宿泊、交通、通訳の手配まで、MICEを幅広く扱っている。ロペス氏によると、日本企業が主催するMICEの場合、その9割以上がインセンティブで、自動車業界やネットワークビジネスを扱う会社などによる報奨旅行が多い。また、石井氏によると、インセンティブは100名から300名の団体をメインに年に30件程度取り扱っているが、ほとんどが旅行会社経由での依頼で、クオニイジャパンが開催地やイベントを提案する場合もあれば、旅行会社からの詳細な部分まで指定を受けて、手配をする場合もあるという。

 旅行会社にイベントを提案した事例として、石井氏は通販会社の250名の団体に対し、ローマで実施したインセンティブをあげた。事前に旅行会社から、主催者がインセンティブを実施する目的や、インセンティブの参加者層についてヒアリングをし、何が喜ばれるかを旅行会社とともに検討した。成績優秀者の報奨旅行として実施し、ホテルのバンケットを貸切って、食事会や表彰式を開催。さらに、参加者の満足度を高めるための独自の提案として、開催地がローマだったことから、サプライズでスタッフが古代ローマ時代の服装で食事などのサービスを実施できるよう手配したところ、大成功を収めたという。

 このように、クオニイでは旅行会社から主催者が求めるインセンティブの目的や成果、参加者の年齢層や男女などをしっかりヒアリングしてから、何を提案するかを考える。そのため、同氏は「主催者の満足度が得られるような提案につながるかは、旅行会社がどれだけ主催者から情報を聞き出せるか次第」と指摘。旅行会社がオペレーターに必要な主催者の情報を伝えることで「旅行会社のアレンジが良かった、プログラムが良かったといわれるようなMICEを提案する」ことができるという。

 主催者の満足度が高いMICEをアレンジするためには、その目的を明確にする必要がある。石井氏は「インセンティブでは、オーガナイザーさんの次の仕事に続く成果を上げる必要がある」とし、「(前述の事例の場合なら)実施することで、参加者の『頑張って会社に貢献しよう、売り上げ成績を伸ばそう』というモチベーションを高めなければならない」点を強調。そのためには参加者のニーズをつかみ、いかに喜んでもらえるような提案をするかが重要とした。


東日本営業本部営業部長の石井和夫氏

 また、石井氏は参加者のモチベーションをあげるための重要な一要素として、ベニュー選びをあげる。例えば、あるサプリメント通販会社のインセンティブの事例では、150名規模の団体に対し、女性が多い団体だったことも考慮してフランス郊外の城館でのロマンチックなパーティを旅行会社に提案。中庭でバスを出迎え、1時間ほどカクテルレセプションを開催した後、中世ヨーロッパの雰囲気が楽しめる城館内のホールで夕食会を行ない、表彰式も実施した。中世の雰囲気漂うなかでのイベントが好評で、参加者から絶賛された。「日本ではできない特別な経験を提供したことが、参加者の満足度を高め、成功に繋がった」という。

 石井氏によると、日本で人気が高いのは、こうした城や世界遺産に指定された歴史的建造物などユニークベニューでのイベントを体験したり、仲間に自慢できるような有名なホテルに宿泊すること。石井氏は「日本の場合は『自慢できるような場所で』が根底にあるのでは」と指摘。通常では入れない場所で特別な体験をするなど「普通のパッケージツアーで経験できないことを求められる傾向がある」とし、そうした傾向を踏まえ旅行会社に提案しているという。ヨーロッパの手配に強いクオニイジャパンの場合、イタリアやフランス、ドイツなど、200名規模にも対応できる貸切しやすい豪華なベニューの多いデスティネーションでの開催が多いという。

 加えて、石井氏は食事や乾杯、表彰式などを適切なタイミングで実施することも重要なイントだと指摘する。例えば乾杯一つをとっても、参加者を待たせることなく一斉に行なうためには、適切なタイミングでグラスを提供できるよう、配るだけの状態まで準備しておくことが必要だ。石井氏によると、「スケジュールの時間に合わせて動いてもらうことが、裏方としては大変」だが、オペレーターとして準備を怠らず、タイミングをはかりながらイベントをスムーズに進行できるよう、心がけているという。



スイスのグリュイエールでのMICE。村の中心の広場を貸切し、特設ステージでイベントを実施した

 さらに、石井氏はMICEの成功には新しいアイディアの提供が必要と説く。同氏によると、リーマンショック以降、主催者から限られた予算内での適切な提案を求められるようになっており、数社に見積もりを作成させる会社もある。石井氏は競合するなか、選ばれる提案をするためには「MICEにとって『未開の地』である、新しく新鮮なものを常に探していく必要がある」という。

 では、クオニイジャパンでは日本で実施していない新しいものを旅行会社に提案するため、どのような工夫をしているのか。ロペス氏はクオニイの強みとして、クオニイ・トラベル・グループのもつネットワークをあげる。本社にあるMICE専門のチームでは世界中の企業のMICEを取り扱っており、過去3年分の実施事例については、実施したプログラムや写真などを入れたデータベースも共有している。アジアでのトレンドやヨーロッパでのトレンドなど、世界各地のMICEのトレンドを取り上げ、日本の企業に提案しているという。

 例えばネットワークビジネスの企業で東南アジア各国からの計250名のインセンティブでは、エジプトの砂漠でイベントを開催。砂漠にテントを張り、ガラディナーを開催したところ、好評だった。また、スイスのグリュイエール村では、村の中心の広場を貸切し、特設ステージで民族舞踊やアルプホルンの演奏などを実施した。ワインバーやビュッフェも設け、参加者に楽しんでもらえたという。ロペス氏は「色々な提案を他のマーケットで既に実施しており、そうした例を日本でも提案できる」とし、自社の強みを活用して、多種多様なMICEを実現していることを語った。

取材:本誌 栗本奈央子

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