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MICE マーケットトレンド:旅行を超えたソリューション力が重要-顧客研究も

  • 2011年5月24日(火)
観覧車内でのレセプション。主催者のニーズにあった、単なる「手配」を超えた提案を

 MICEの市場動向として、主催者がMICEの投資効果(ROI)を強く求めるようになってきていることは前回に述べた。MPI Japan Chapter会長の浅井新介氏は、単なる旅行としてではなく、旅行の領域を超えた事業としてMICEを意識し、主催者となる顧客に対応する必要性を指摘する。リーマンショック以降MICE市場が変化するなか、受注拡大をはかるための方策を浅井氏に聞いた。

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求められる旅行以外のソリューション力

 浅井氏は旅行会社の課題として、「旅行商品のブランドは確立していても、MICEによる問題解決を相談できる会社だとは思われていない」点をあげる。同氏はMICEの取扱いを拡大するためには、今まで旅行会社が扱ってきた食事、交通、宿泊の3本柱だけでなく、問題解決のための提案力を高め「旅行の域を超えた『問題解決ブランド』をアピールすることが必要」だと訴えた。

 たとえば、教育旅行もMICEと捉え、学校を顧客として例を挙げると、学校が新入生を確保するのが大変な状況というのであれば、学校説明会を名のある会議場で開く、学校のある地域コミュニティのイメージアップをするといった提案が考えられるという。

 また、「旅行にプラスアルファの提案をしていくことが大切」とし、旅行会社の強みを活かした例をあげた。顧客の企業が新商品を発売した際、旅行会社がその試供品を提携旅館に置いたり、インセンティブツアーで試供品を配って使い心地のアンケートを取るなどして、販促活動を成功させたという。

 さらに浅井氏は、MICEの実施においてはホテルや交通の手配の準備だけでなく、実施前後の企画が重要だと指摘する。インセンティブツアーであれば、いかに参加者を増やすかという段階から考えると、実施前にツアー告知のためのプロモーションDVDを作成するなどの案がでてくる。浅井氏は「参加者を増やすことは営業成績向上をめざす主催企業の目的を果たすものであり、旅行会社にとっても利益となる」と示唆した。

 また、MICE実施後に参加者のアンケートをとり、フィードバックをする重要性も指摘する。浅井氏は航空会社、ホテル、食事などに関する満足度のデータをそろえることで「旅行会社だけでなく宿泊施設や飲食施設など、サプライヤーにとってもよい資料にもなる」とメリットを強調。アンケートとその活用はMICE後にできる最低限の取り組みだが、まだ実施が徹底されていない部分だとし、「無事に当日を終了しても、やりっぱなしは避けたい」と述べた。

主催者のニーズをつかみ、コミッションにとらわれない提案を

MPI Japan会長の浅井新介氏

  浅井氏は旅行会社の「3本柱」についても、変化が求められているという。従来は、コミッションの高低によって使用する施設がある程度限定されてしまうケースがあったが、それは主催者に対して提示できる選択肢の減少を意味し、「必ずしも主催者の利益とならない」ためだ。

 浅井氏は、旅行会社がMICEを取り扱う「大きな強み」は、「地球上のすべての素材を比較検討の上、主催者にとっての最善を提案できる」ことだという。例えばホテルが主催者と直接交渉する場合、自社ホテルのプランしか提案できないが、旅行会社はホテルだけでなく、ユニークベニューと呼ばれる博物館や宮殿などさまざまなベニューを活用することができ、主催者のニーズにそった多様な提案が可能だ。

 大型のMICEを実施する生命保険業界やネットワークビジネス業界では、満足できる提案をしてくれるのであれば適正な対価を払って利用したい、という意見も出てきているという。

 また、旅行会社はサプライヤーと主催者を媒介するだけのメッセンジャーになるのではなく、視察の手順から当日の運営方法まで、サプライヤーより率先して取り仕切り「自分がどういう風にしたいか、サプライヤーに伝えることが重要」だ。主催者の立場に立ってMICEを提案することで、主催者から評価される。主催者が満足しMICEが成功することで、旅行会社とサプライヤーの信頼関係の構築にもつながるという。



受注のヒント、顧客を知り、知識レベルの向上を


MPI Japanでは定期的にセミナーや勉強会を開催している
MPI Japanでは定期的にセミナーや勉強会を開催している

 主催者の問題解決のためには、多様な提案が可能な体制とともに、主催者となる顧客をよく知る必要があるだろう。浅井氏は顧客を研究し、顧客の事業を全体的に意識することで「受注している案件以外にどのようなMICEを実施しているのかを把握することが必要」とアドバイスする。1つの企業内には、インセンティブツアーもあればエグゼクティブミーティングもある。浅井氏は「顧客のMICE行事を総ざらいする」ことが、旅行会社がMICEの取扱いを拡大することに結びつくという。同氏によると、企業の担当者と親しくなるにつれ、実は全部で100種類ほどのMICEを実施していることが分かった例もある。今までインセンティブツアーばかりを受注していた旅行会社にとっても、幅広い発想がビジネスの場を広げることにつながるという。

 さらに、旅行会社の課題として、浅井氏は知識不足をあげる。同氏によると、MPIでセミナーを開催しても旅行会社の参加は少なく、参考文献を挙げても誰も読んでこないのが現状だという。自分で情報を取りにいかず、社外の人との交流も少ないと、有効な知識を身に付けられない。浅井氏は「知識がないと付加価値のある提案ができず、収益に結びつかない」とした。


 加えて、浅井氏は旅行会社の準備不足により、主催者の要求に十分に対応しきれていない部分があると指摘する。同氏によると、主催者からは、旅行会社にベニューの広さや受入れ可能な人数などについて尋ねても返事がすぐに来ないという不満の声もあり、主催者とサプライヤーの直接交渉につながってしまっているという。

 MICEの種類や規模により、頻繁に行くデスティネーションや充分な広さのあるベニューは限られてくる。浅井氏は「顧客の要望に沿うようなベニューの情報はあらかじめ整理しておきたい」とし、ベニューをデータベース化して、ある程度の質問にすぐ対応できるよう準備を整える必要性を訴えた。


取材:本誌 栗本奈央子

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