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MICEコラム:(2)「MICEサプライヤーの上手を行く」(その2)

  • 2011年7月12日(火)

 MICEはマーケティング活動の一環として、企業が計画・実施するイベントです。企業とは、「業者vs.お客様」という構図あるいは思考から卒業し、一緒に成功するMICEをめざすという思考~パートナーとしての思考が必要です。

 先日ある雑誌の企画で、「こんな会場はいらない!」と言うテーマで座談会を開催し、座長を務めました。参加したのは、年に多くのMICEを開催している企業イベント・プランナー、ミーティング・プランナーがほとんどで、MICEのプロ7名です。

 最近流行のビルト・イン型でセミナーに適している会場から、ホテルあるいは大型の展示会場など含まれました。そのなかでも多かったのは、「事前にお願いした備品等が準備されていない」に始まり、「会場そのものの知識がない」など一般常識では考えられない意見が多く出ました。これらは柔軟性がない、客とも思っていない、またホスピタリティやサービスが皆無だったりといった、ヒューマン(人)に関わる問題でした。

 こうした点は旅行会社が介在することで、多くの問題が解決出来る筈です。事前のチェック機能や、他の会場を見ている経験などで、単体の施設しか知らないサプライヤーと違った多くの視点で施設を見ることができます。

 例えばサプライヤーであるホテルも、MICEという横断的なビジネスは良く理解していません。組織も宿泊、宴会、レストランと縦割りで、効率良く機能してないケースが多いのです。サービスやホスピタリティでほかの会場などと一線を画しているホテルでさえこのような状況ですから、公営のMICE会場などは推して知るべしです。

 旅行会社はこれらの、ともすればバラバラなパーツのコーディネーターとして、しっかりバインドし機能させることで存在価値を高めることができます。MICE顧客企業がサプライヤーと直接取引するよりも、旅行会社が介在することで、さらに全てがスムースに計画、運営されるというその強いベネフィットをアピールすることです。

 MICEという考え方は日本では新しい発想なので、MICEを理解していないというサプライヤーが依然として多く存在しています。ここでは、具体的な例としてインスペクション(会場下見)を引き合いに、サプライヤーの上手をいくというのはどのようなことなのかを解説します。

 私の友人の企業イベント・プランナーが主催部署の責任者と一緒に、都内の某ホテルにMICEイベントのインスペクションにいった時のこと。

 ロビーで待っていたら、担当の営業マンが汗をかきながらやって来た。それではご案内しますということで、エスカレーターに乗り込み、いきなり最上階のスイート・ルームに連れていかれた。

 その次はデラックス・ルーム、続いてスタンダード・ルーム、何処をどう歩いたか動線も分からないまま、宴会場に辿り着き、宴会場のドアを開けると真っ暗で、尚且つ夏の真っ最中で、部屋の中は酷く暑い。

 「ところでここでウェルカム・パーティをやるとしたら、着席で何人OKでしょうか?前にステージを設けるとして」と尋ねると、「えーっと、ちょっと待って下さいね」

 こんな光景が実は日常茶飯事なのです。

 あなたが旅行社の担当者だとしたら事前にこのようなリクエストをするはずです。

「今度のA社のインスペクションは責任者と担当のBさんと参ります。可能な限り上の人をウエルカムでグリートして下さい。到着したらミーティング・ルームを用意して、冷たいものでも用意して下さい。それと、そちらのファクト・シート、それに動線なんかも確認したいから建物のレイアウトと、宴会場の図面も含んだ仕様書もお願いしますね。結構そちらのホテルって複雑な建物ですし、A部長はそちら初めてなんですよ。

 それからお宅だと間違いないと思いますが、インスペクションの順番ね。見たいものの順にして下さいね。日本のホテルはショー・ルームとかいって客室から見せるなんて大きな間違いですよね。MICEの下見だから、宴会場からが当たり前ですよね。

 それから宴会場ですけどね。なるべく当日の状態にしておいて下さいね。ライトが消えていたりすることが、多いですよ。好印象持てなくなりますよ。見積もりして頂いたテーブルセッティングなんか下見の時に見せてくれるなんて、素晴らしいアイディアだと思いませんか?

 ところで搬入は最低4トン車はOKですか?A社さんはね。結構演出凝るんですよ」

 少し理解頂けたでしょうか?旅行会社の皆さんがインスペクションのシーンでもサプライヤーであるホテルに仕切らせずに、皆さんが仕切り~サプライヤーの上手を行くという考え方を理解して頂こうと、例を挙げてみました。

 旅行会社はいかなる場合でも、パートナー関係を築き、パートナーである企業サイドに立つということが大切です。サプライヤーとはもちろん良い関係を築くことも必要ですが、いかなる時にも皆さんはMICEのデザインの中心にいて、MICEを仕切る~サプライヤーの上手を行くことが、企業より信頼されて継続したMICEの獲得のベースとなるのです。

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筆者:MPI Japan(Meeting Professionals International)Chapter 浅井新介 名誉会長

プロフィール

MICEビジネスのプランナー/サプライヤーとして30年に渡る経験を持つ。ウェスティン・ホテルズ極東地区営業支配人、ユナイテッド航空代理店担当課長、法人営業部長、日本地区旅客営業部長を歴任。スターウッドホテルズ日本の依頼により、再建下の宮崎のシーガイアにセールス・マーケティングの責任者として赴任。海外、国内の数千名規模のMICE獲得と受け入れに成功し、リゾート再生に貢献した。財団法人日本ホテル教育センターMICE塾塾長。

 

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