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文化庁、文化芸術活動の意義を強調−自粛に対しメッセージ発出

  • 2011年4月18日
 文化庁は4月12日、東日本大震災の影響による文化芸術活動の自粛を受けて、「当面の文化芸術活動について」と題し、文化庁長官の近藤誠一氏の名前でメッセージを発出した。

 同庁によると、震災発生後、施設の破損や計画停電、外国人出演者のキャンセル、事業者の活動自粛などで、被災地以外でも祭りなどの地域行事や文化芸術関連の催しが中止、延期となるケースが増加しているという。メッセージでは「文化芸術は本来、私たちの心に安らぎと力を与え、地域の絆を強め、明日への希望を与えてくれるもの」と文化芸術活動の意義を強調。「縮小は経済社会全体の活力にとって好ましいものではありません」とし、文化芸術活動を積極的に実施し、今後の復興を支えていく姿勢を示した。メッセージの全文は以下の通り。


▽文化庁長官・近藤誠一氏
「当面の文化芸術活動について」

 このたびの東日本大震災によって亡くなられた方々のご冥福を衷心よりお祈り申し上げると共に、被災された方々に心からのお見舞いを申し上げます。被災地においては、今なお行方不明の方々の捜索が続き、不安かつご不自由な生活を余儀なくされている方々が多数いらっしゃることには胸が痛むばかりです。

 こうした中で、余震の恐れや計画停電、事業の自粛などにより、被災地以外の地域においても伝統的な行事や文化芸術活動が縮小されるなどの動きがあると承知しております。文化芸術は本来、私たちの心に安らぎと力を与え、地域の絆を強め、明日への希望を与えてくれるものであり、その縮小は経済社会全体の活力にとって好ましいものではありません。全国各地の活発な文化芸術活動によって国民ひとりひとりが活力を取り戻すことが、日本全体の元気を復活させるために必要なことであり、被災された方々に対する一層の支援につながるものと考えます。こうした動きはまた、復興に向けた力強い日本の姿を国際的に印象づけることにもなりましょう。

 被災地では様々な生活支援事業に加え、既に各地で文化芸術を通して被災された方々を慰め、勇気づける自主的な取組みが見られることに意を強くしています。文化芸術は、復興への歩みを進める方々の心の滋養になることを過去の経験が物語っているからです。また大震災直後から国の内外で文化芸術分野におけるチャリティーの催しが数多く行われ、それらを通じて皆様が心を一つにして支援の動きを強めておられるのを目の当たりにしております。海外のアーティストによる支援活動も広がっており、芸術家の国境を越えた連帯と、文化芸術のもつ力を再認識しました。

 文化庁は、従来の文化芸術振興策を積極的に推進すると共に、被災地の復興と歩調を合わせながら、現地での文化芸術活動への支援など、被災された方々を勇気づける取組みにも意を用いて参ります。

 今後、被災された方々に心を寄せつつ、電力事情、安全性等を十分踏まえながら、それぞれのお立場で、文化を創造しあるいは親しむ活動を積極的に行うことにより、日本の力強い復興を支えてくださいますようお願い申し上げます。


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