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過去20年で旅行会社は減った?増えた?-「数字が語る旅行業」分析

JATA会員も構成比が変化、第1種は5割に

 一方、2020年4月1日時点のデータまで確認できるJATA会員の数では、正会員は2000年が1308社であったところから2010年には1199社と100社以上減少したが、2020年には1193社で、一見すると持ちこたえている様子。


 しかし、こちらも前述の旅行会社全体の数と同様に内訳は大きく変わってきており、第1種は2000年に正会員全体の64.6%を占めていたが、2010年は59.8%、2020年は52.6%となっている。第3種は27.8%、27.5%、27.1%と大きく変わらず、残った第2種が7.6%が12.7%、20.4%とシェアを高めているかたちだ。

(※JATA会費は一律の普通会費と「(常勤役員数+旅行業関係従業員数)×600円」で求められる特別会費の合計からなり、大手は第1種であることから種別のシェアと会費収入のシェアは一致しない。)

 また、さらに動きが目立つのは協力会員と賛助会員の数で、協力会員と国内賛助会員、在外賛助会員の合計は、2000年から順に2408、1480、896社・団体と急減。国内賛助会員は大きな変化がないものの、協力会員が1278社から401社へと3分の1となり、在外賛助会員も1028社・団体から401社・団体へ6割減となった。


 このうち協力会員の会員資格は、「旅行業法に基づく旅行業者(JATA正会員を除く)及び旅行業者代理業者並びに旅行サービス手配業者」で、1ページ目で触れた代理業の減少とのリンクが感じられる。ちなみに、先述の通り2000年時点での協力会員は1278社だが、1996年には2385社と2000社を超えていた時期もあり、時代の移り変わりとともに、種別ごとに数が大きく入れ替わってきたことがわかる。

出入国者数が増加してもプレーヤーの数は減る旅行業界

 下図の通り1999年以降の20年間で、海外旅行は苦しみながらも終盤で出国者数が2000万人を突破し、訪日は1999年にたった444万人、2011年でも622万人であったところから2019年には3200万人近い規模に急拡大しているものの、旅行会社の数で目立つのは第2種がわずかにプラスとなった程度で、かろうじて第3種も2015年から増加に転じたが2019年は残念ながら前年割れ。観光の盛り上がりを旅行会社が追い風として捉えられなかった構図が見て取れる。


 来年版の「数字」が何を語るかは現時点で不明だが、少なくとも出国者と訪日外客の数は上半期の時点で299万人と365万人という推計値が日本政府観光局(JNTO)から出ており、このまま行けば両方20年前の水準に逆戻りしても何ら不思議ではない。もちろん旅行会社の数も種別を問わず減る方が自然だろう。

 このままいけば「数字が語る旅行業2030」が発行されない未来も想像できてしまうほどの苦境だが、果たして運を天に任せるしかないのか、業界、会社、個人として何かできることはないのか、考えるくらいしても損はないはずだ。