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【コロナに負けず】Klookマーケティングディレクターの山崎真宏氏

-そのような状況のなか、5月にオンライン体験商品の「KLOOK home」をリリースされましたが、その背景について教えてください

「KLOOK home」のキービジュアル(プレスリリースより) 山崎 「KLOOK home」については、以前からサプライヤーと共同で開発を進める話があったが、これほど大々的にリリースすることになった背景には、やはり現在の情勢が大きく関係している。まずはこの状況のもと、段階的な回復のための第一歩として、オンラインの料理教室やバーチャルツアーなど、旅先で楽しめる体験を自宅でも楽しんでいただくことをめざしている。

 価格帯はリーズナブルなので、これによって海外でのリアル体験ほどの売上高を上げられるとは考えていない。海外旅行が復活するまでのユーザーとの接点、あるいは海外旅行と海外旅行の間の期間において、ユーザーに楽しんでいただけるツールとなることを期待している。取り組みはCOVID-19が収束してからも継続するつもりだ。

 グローバルでの滑り出しは、想定通りといった印象で悪くはない。日本については6月にリリースしたばかりなので、まだ大きな反応は見えないが、これから本格的に動き出すのではないかと思う。現在、日本語サイトで予約できるのは海外の商品に限られているが、今後は国内の商品の開発も検討する考えだ。

-日本人の旅行は国内旅行から回復する見通しですが、国内旅行向けの体験商品の強化について、方針や勝算などをお聞かせください

山崎 日本人向けの国内商品についても、COVID-19が拡大する前から開発の計画はあった。一般的に、海外旅行を終えてから次の海外旅行までの間は長いので、ユーザーとの結びつきを維持するために、より使用頻度の高い商品を楽しんでいただくための戦略を考えていたところだ。

 例えば沖縄については、訪日外国人の需要が顕在化していない離島のアクティビティや交通手段を日本人向けに提供するなど、違う切り口での商品開発を予定している。タイミングは当初の計画と変わらないが、COVID-19を機に、より拡充しなくてはと考えている。

 年内には国内のツアーやアクティビティに加えて、アトラクション施設・温泉・スキー場などの商品を拡充し、来年以降はショッピング、レストラン、映画、コンサート、イベントなどのライフスタイル商品にも進出する計画だ。Klookはすでに、訪日旅行者向け商品で多くの国内サプライヤーと共同開発を進めてきたので、日本人向け商品の開発でもその実績が強みになると思う。

-今後の日本の旅行需要の回復について、見通しをお聞かせください

山崎 社内でも日々情報をアップデートして分析を続けているが、やはり需要は国内旅行から回復するだろう。6月19日にも県を跨ぐ移動が可能になると言われているが、まずは週末の近場の日帰りレジャーの需要などから戻ってくるのではないか。国の「Go Toキャンペーン」も展開されるので、夏休みのタイミングに合わせて需要に弾みがつくと思う。

 海外旅行と訪日旅行については見通しが立てられないのが正直なところで、海外旅行の回復の兆しが見えるのは、早くても秋以降になるのではないか。行き先もまずは近隣アジアから回復し、欧米については感染者数が依然として高止まりを続けている国も見られることから、年内に回復するとは思えない。