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専門性で生き残る:秘境旅行のHISネイチャーワールド

渡航歴豊かなデスティネーション開拓者7名が集結
世界275拠点を活用、「弾丸たび」など新たな選択肢も

-新規客の獲得方法について教えてください

狩野氏狩野 ネイチャーワールドで扱う国や地域は、一般的なデスティネーションに比べて圧倒的に情報が不足しています。そのため、まずは基本的な情報や魅力を知っていただくために、年間約20本のイベントを開催しています。

 最近では、アフリカのウガンダの魅力を来日した日本語ガイドの方に語っていただいたり、マチュピチュ以外の音楽や料理などの側面からペルーを紹介したり、映画「旅のおわり世界のはじまり」の公開を機に、駐日ウズベキスタン大使館と協力して説明会を開いたりしました。直近では、昨年10月に公開された映画「第三夫人と髪飾り」の舞台で、景観が世界遺産となっているベトナム北部のチャンアンを、トラベルジャーナリストが語るトークイベントを開催しました。

 これらのイベントへの集客は、DGベンチャーズが運営するイベント・コミュニティ管理サイトの「Peatix」で展開している、旅好きのためのプラットフォーム「HIS旅カレッジ」で行っています。イベントにはツアーに参加するお客様よりも、さらに幅広い年齢層の方々に集まっていただいています。

-近年のOTAの勢力拡大は、秘境旅行市場にどのような影響を与えていますか

狩野 秘境とは言っても、ネイチャーワールドがツアーを設定している国や地域は、いずれも旅行者が自らOTAなどで航空券やホテルを予約して訪れることが可能です。ですから市場は「少しでも安く旅行したい」という方と、「人を介して旅行したい」という方に二極化してきていると感じます。

 ネイチャーワールドのツアーは「旅マイスター」が実際に現地を訪れて造成していますし、日本語ガイドがアテンドすることで安心と安全を提供しています。秘境旅行というと冒険旅行のようなイメージを持たれがちですが、安心と安全を確保した上でお客様をお連れするのがパッケージツアーならではの特徴であり、強みです。

 トラブルや困りごとには現地の支店やデスクが24時間体制で対応しますし、それらがない地域でも、近くの都市のスタッフが対応しますので、参加者は安心できます。その安心感を大きな価値として受け止めるマーケットにおいては、今後も大きなアドバンテージがあると思います。病気や急な出張など、想定外の出来事でキャンセルを余儀なくされる場合には、海外旅行の申し込みから出発までをサポートする「HISキャンセルサポート」があります。

-ネイチャーワールドの中長期的な目標をお聞かせください

狩野 世界には日本人が知らない場所がまだまだあると思いますので、これからも新しいデスティネーションを開拓し、新たなトレンドを作っていきたいです。秘境旅行というと「遠い」「高い」といったイメージがありますが、最近では「弾丸たび」が若い旅行者の新たな選択肢として刺さっています。

 女性については、HISが運営する女子旅コミュニティの「#タビジョ」から、インスタ映えする写真を見てツアーに参加されるケースも出てきています。デスティネーションも参加者も、さらに幅を広げていきたいと思います。

 また、現在のネイチャーワールドのデスクは新宿だけにしかないので、今後は他のエリアにも拡大したいです。時代に合わせてインターネットを使ったコンサルティングも…などと考えると、アイデアは次々に広がっていきます。

-ありがとうございました