「次世代流通モデル」とは、NDCの可能性など解説-日本ユニシスがイベント

IATA藤原氏、旅行会社もNDC活用を
タビナカ予約「アソビュー」の戦略も

会場の様子

 日本ユニシスはこのほど、旅行ビジネスを取り巻く環境が急速に変化しているなかで、旅行業界における次世代流通モデルをテーマとした「旅行イノベーションセミナー2020」を主催した。セミナーでは、国際航空運送協会(IATA)日本代表の藤原勇二氏が「いまさら聞けないNDCとは-NDCの現在と今後」と題する講演をおこなったほか、タビナカ体験の予約マーケットプレイスを展開するアソビュー社長の山野智久氏が「タビナカ市場で起きているデジタル変化と今後」について講演し、市場トレンドなどを紹介した。

IATA日本代表、NDCの仕組みとメリットを説明

 NDCについて講演したIATA日本代表の藤原氏は、空港においては顔認証や手荷物へのRFIDタグなど技術の活用が進んでいる一方、航空業界は「情報産業の最前線にいるが、競合との差別化や付加価値のある情報提供で改善の余地がある」ことがNDC導入の背景となったと説明。特にレガシーキャリアと最初から最新技術を導入しているLCCとの差は大きく、「固定電話がない国では携帯電話の普及が早かった」ことに似ているという。

 最大の課題は、「航空会社が自分たちの商品を正しく顧客に伝えられているか」。藤原氏は、その課題は旅行会社についても同様であるとし、旅行会社も今後はただ航空券を発券するだけでなく「有益な情報を顧客に提供していくことが必要」と強調した。

 また藤原氏は、航空会社の販売面での課題として、差別化(自社商品の明確化)、商品化(付帯サービス、運賃体系)、顧客志向(FFPサービス、嗜好)、顧客に応じたダイナミックオファー、コスト削減を挙げる。NDCはこれらをカバーするもので、その役割は「普段のネットショッピングでできることを航空でも可能にすること」であるという。ただし、「IATAが提供するのはXML技術仕様で、それをどのように利用するかは航空会社次第」と付け加えた。

 ちなみに、NDCの世界ではリザベーション、RBD(予約コード)、チケッティング、チケットナンバーといった言葉が消え、新たに「Offer Management」「Order Management」などの用語が使われるようになる。 航空会社はプロダクトのオファーをマネージメントする必要が生じるとともに、リザベーション、チケッティング、収益、商品提供などをひとつの「One Order」として管理する。

 一方、旅行会社は、NDCを活用することで航空会社と直接接続したり、アグリゲーター経由で接続したり、さらに旅行会社自身がアグリゲーターとしてビジネス展開することもできるようになる。これが可能となる理由は、「NDCでは、PNRも含めすべての情報が航空会社にあるため」だ。