旅行者の「体験」に焦点-トラベルポート、次世代プラットフォーム開発も

TMC向けに機能拡充、AIやブロックチェーンも

CCOのジェイソン・クラーク氏

 こうした状況におけるトラベルポートの現状としては、顧客である旅行会社などがCXを拡大できることを重視して開発に取り組んでいることをアピール。特にTMC関連のプロダクトを紹介した。

 例えば現在は「Next Generation Platform」と名付けたプロジェクトを進めており、ここではNDC対応のほか、航空だけでなくバスや鉄道を提案するプランニング機能やブロックチェーンの活用、モバイル対応、さらにソーシャルメディア経由でのチャットボットによる予約受付、AIを活用したAPI接続なども予定しているという。

 さらに、機能としてはEメールなどの内容を自然言語処理して分析し、フライトや宿泊の必要性を旅行会社に自動で送信したりそのまま自動発券したりできるツールなども予定している。

 トラベルポートとしては、「TMCへの期待値が、消費者向けEコマースの世界と同じになりつつある」との分析で、PwCイップ氏の指摘にもあった「シンプルさと便利さ」を重視して開発を進めているところで、旅行会社やサプライヤー、そして旅行者それぞれのエクスペリエンスの改善をめざしているところ。スマートポイントのクラウド化や、航空券を予約した出張者に対するホテルの自動推奨などの機能も実現していく。

 さらに、ATPCOが進める新しい航空券の比較検索規格「Next Generation Storefront(NGS)」も来年から再来年にかけて導入予定という。NGSは、「棚と引き出し(Shelves/Drawers)」と名付けた表示方法が特徴で、「棚」画面では航空券の検索に対して候補の便を縦に並べて表示。従来はA社のベーシックエコノミーとB社のメインキャビン、C社のビジネスといったような運賃ごとの差を比較することが難しかったが、NGSでは似ていると判断した運賃を星の数で格付けし、列で分けて比較できるようになる。また、「引き出し」画面では、比較した各運賃についてアメニティなどがどう違うかを確認可能だ。

NGS画面イメージ(※ATPCOブログより転載/クリックで拡大)

 これについてトラベルポートでは、「旅行会社は自分がどのようなプロダクトを販売しているのかを把握しやすくなり、顧客に対してなぜこの航空券を販売しているのか、なぜこの航空券が適しているのかを説明しやすくなる」とアピールした。

 なお、航空会社が直販を強化するなかでの競合についてCCOのジェイソン・クラーク氏は、「そもそもパイが大きくなっている」としたうえで、サウスウェスト航空(WN)やインディゴ(6E)が直販モデルからGDS経由での旅行会社の販売に期待するようになっている現状にも言及。また、他のプラットフォーム事業者との差別化についても、「まずはGDSが中核事業であること」から異なると強調した。