専門性で生き残る:北米モーターホーム旅行のトラベルデポ

ハードでパンチが効いた貴重な体験を
料金とサービス、そして安心・安全にも自信

小林氏と、オフィスとしても使用している米国製モーターホーム  OTAの躍進や相次ぐ他業界からの参入などにより、環境変化が進む旅行業界。しかしそのような状況でも、専門分野における経験とノウハウで勝負し、利用者の信頼を獲得し続けている旅行会社は多い。そのような専門型旅行会社の現在の業況や今後の展望を紹介するシリーズ「専門性で生き残る」の第7回は、米国とカナダで多くのレンタル会社と提携する、日本で唯一のモーターホーム(キャンピングカー)旅行専門会社のトラベルデポ・インコーポレイテッドを紹介する。代表取締役を務める小林康之氏に話を聞いた。

-ご経歴とトラベルデポ設立の経緯について教えてください

小林康之氏(以下敬称略) 1991年にJTBに入社し、都内の支店で法人営業を担当した後、2001年にJTBビジネストラベルソリューションズ(JTB-CWT)に配属され、アメリカ系企業の団体旅行やイベントを手がけました。起業のきっかけとなったのは、1998年にゴルフのマスターズ・トーナメントの観戦ツアーの添乗をしたことで、初出場の夢を叶えた丸山茂樹プロの姿を見て、「自分も夢を叶えよう」と思いました。

 もともとアメリカが好きで、「将来はアメリカに関するビジネスを始めたい」と思っていましたが、各地を周るなかでモーターホームと出会い、「モーターホームでアメリカを旅するための会社を立ち上げたい」と考えるようになりました。実現したのは2006年で、39歳の時です。

-これまでの13年間で転機はありましたか

小林 初めはJTB時代から付き合いのあった、ロサンゼルスに本社を置くモーターホームレンタル会社のエルモンテRVと一緒にビジネスを始めました。その後も、アメリカ本土に加えてアラスカ、カナダの多くのレンタル会社と契約し、ビジネスを広げていきました。

 しかしその一方で困ったのは、現地でお客様をサポートするガイドの教育です。一般的な観光旅行とは違い、モーターホームによる旅ではお客様のレンタル手続きをサポートする必要があるので、ガイドには正しい手順や知識を知ってもらう必要がありますが、私が日本で手配しながら、同時に現地ガイドの教育をすることは困難でした。

小林氏(左)と姫野氏(写真提供:トラベルデポ)  そう感じていた頃に、ロサンゼルス在住の姫野(スチュアート・M・姫野氏)に出会いました。アメリカで大手旅行会社の支店長などを歴任した後、退職してロサンゼルスでビジネスを立ち上げていたのですが、そんな彼がトラベルデポの現地責任者を引き受けてくれたのです。10年には、私が日本から送り出して姫野が教育したガイドが、アメリカでお客様を受ける体制が整いました。

 この年には若者のカリスマ的存在である、作家でサンクチュアリ出版創立者の高橋歩氏との出会いもありました。彼がモーターホームで9ヶ月に及ぶ北米旅行を体験し、モーターホームの魅力を広めてくれたことで、 顧客として若者が入ってくるようになりました。高橋氏は現在、当社のアドバイザーに名を連ねています。