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田村長官、訪日4000万人達成に向け「産業の革新」に注力

  • 2016年4月21日

 観光庁長官の田村明比古氏は4月20日の業界誌向け会見において、政府が3月30日に策定した「明日の日本を支える観光ビジョン」で掲げた数値目標について「かなり野心的な目標を掲げた」と振り返った。ビジョンでは訪日外国人旅行者数と消費額の目標として、2020年には4000万人と8兆円、30年には6000万人と15兆円を掲げている。このことに対して田村氏は「観光先進国として新たな高みをめざすということ。チャレンジしがいのある目標」と意欲を示した。

 同氏は訪日旅行について、周辺のアジア諸国が経済成長により旅行需要が増加していること、日本が世界的に見ても豊かな観光素材を有している旨を説明。「やるべきことをしっかりやっていけば、世界の観光におけるポテンシャルを発揮できるのでは」と期待を示した。

 ビジョンで掲げられた「観光産業の革新」「観光資源の魅力向上」「ストレスフリーな旅行環境の実現」の3つの「視点」については、そのうち特に「観光産業の革新」に注力していく考え。田村氏は15年の訪日外国人旅行者による消費額が3兆4771億円に増加したことについて、「自動車部品や電子部品などの輸出額の背中が見えてきた」と語り、「旅行産業をさらに大きく、基幹産業として育てていかなければならない」と強調。そのためには「国民1人1人が『観光は重要な産業で、明日の日本を支えるもの』という共通認識を持って取り組んでいく必要がある」と述べた。

 訪日外国人の消費額増加に向けては、長期滞在の促進をはかるともに、アクティビティや体験素材での消費を促す考え。日本人の旅行消費額については「維持と成長は重要と認識している」と語り、達成のためには旅行回数や宿泊日数を増やす必要があるとした。

 そのほか「日本人は必ずしも現在の国内旅行のサービスに満足していないのではないか」と述べ、サービスや観光資源の磨き上げをおこなう必要性を強調。さらに、旅行のための有給休暇の取得率の向上や、休暇の分散化などの「休暇改革」の必要性を説いた。休暇改革については「最近は観光産業以外でも『働き方を考えていこう』という機運が高まっているほか、労働基準法の改正の動きがあり、以前と異なる環境になってきた」と語り、改革の実現に向けて官民協働で取り組みを進めていきたい考えを示した。