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政府、20年の訪日客数を4000万人に-「観光先進国」へ

  • 2016年3月30日

会合の様子(写真提供:首相官邸)  政府は3月30日、首相の安倍晋三氏を議長とする閣僚級会議「明日の日本を支える観光ビジョン構想会議」の第2回会合を開催し、訪日旅行のさらなる推進や、地方への誘客などをはかるための新たな中長期ビジョン「明日の日本を支える観光ビジョン-世界が訪れたくなる日本へ-」を策定した。年間訪日外国人旅行者数の目標として2020年に4000万人、30年に6000万人を掲げるとともに、消費額は20年に8兆円、30年に15兆円をめざす。

 同会議については昨年11月に第1回会合を開催したのち、12月と1月には内閣官房長官の菅義偉氏と国土交通大臣の石井啓一氏、関係各省の局長などからなるワーキンググループで具体的な議論を実施。新たなビジョンは、毎年改定している「観光立国実現に向けたアクション・プログラム」や今後の成長戦略などに反映するほか、今後の予算編成にも影響を及ぼす。

 会合終了時に安倍氏は「民間委員からの大胆かつ実践的な意見により、政府の意識も大きく変った。 新たに決定した『10の改革』を着実に実行することで『観光先進国』という新たな高みを実現する」と宣言した。訪日外国人旅行者数の目標については「一部から批判もあるかもしれないが、2000万人については見事に前倒しで実現した」とアピール。「政治が前面に立ち、常に先手を打って万全の対策を講じる」と意欲を示した。

 新たなビジョンでは、過去3年間に訪日旅行者数が倍増の約2000万人に、消費額が3倍増の約3.5兆円に増加したことや、国連世界観光機関(UNWTO)による予測などを踏まえて、20年と30年に達成すべき数値目標を設定。訪日旅行者数については20年に4000万人、30年に6000万人をめざし、全世界の外国人旅行者数ランキングで10位以内に入る考え。観光庁によれば、日本は14年の時点では22位となっているが、目標を達成した場合は20年には8位、30年には7位に上昇するという。

 消費額については20年に15年比で2倍超の8兆円を、30年には4倍超の15兆円をめざす。地方部での外国人延べ宿泊数については、20年に15年比で3倍弱の7000万人泊、30年に5倍超の1億3000万人泊を掲げる。外国人リピーター数は20年に15年の約2倍となる2400万人、30年に約3倍となる3600万人を目標に。そのほか日本人の消費額については20年に21兆円、30年に22兆円をめざすとした。それぞれ、過去5年間の平均から約5%増、約10%増となる。

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