HIS澤田氏が語る「成功するビジネス」と未来-十人会例会から

  • 2015年4月23日

業界関係者向けに貴重なトークショー
旅行業への思いを改めて力説

「変なホテル」開業に意欲、先端技術武器に

 澤田氏は、現在最も注力している事業の1つである、7月15日にハウステンボスで開業予定のローコストホテル(LHC)「変なホテル~変わり続けることを約束するホテル~」についても説明した。2014年1月の記者会見は大きな反響を呼び、「毎日、内外のホテル業界からの見学の申込みが絶えない」状況だという。澤田氏は、「初めて複数の海外のメディアから『取材に来たい』との申し出があり嬉しかった」と述べた。

 同ホテルは、7000円からのオークション形式で宿泊費を決めるシステム。しかし、既に大きな注目を集めていることから、「いくつもの旅行会社が夏のピーク時の価格で買い取ってくれている」という。澤田氏は「最終的には4000円でも儲かるようにコスト計算してある」と語るが、効率化のカギは先端技術や最新型ロボットの活用だ。

 同ホテルでは客室のキーを排して顔認証システムを取る予定だが、「チェックインや荷物運びはすべてロボットに任せるのか」との問いに対しては、「ロボットはかなり賢く、しかも“かわいい”が、最初は最低限のコミュニケーションから始める」と回答。掃除についても「最初は6割くらいで、徐々に比率を上げていく」とした。

 筆者は昨年に、東京大学先端科学技術研究センターが開発したモデルハウスを見学している。輻射パネル方式による温度管理がなされ、外観・内部ともにシンプルなデザインからは、先端技術によるソフト面が大きな武器であることが感じられるとともに、構想の実現のスピードにも驚かされた。しかもこのLHC事業には東大だけでなく鹿島研究所も参加しており、2つのチームを競合させて試行錯誤を続けている。いかにも澤田氏らしい発想だ。

 同ホテルは間違いなく、オープン時にも大きな注目を集めるだろう。「このモデルで全国展開し、さらに世界展開をめざすのか」との質問に対しては、訪日外国人旅行者の増加などを見据えて、「これから国内ではホテルが不足するので、まずは日本から」との考えを示した。なお、現在の澤田氏の挑戦は、ホテル事業だけにとどまらず、エネルギー事業や健康産業、水耕栽培などにも及んでいる。