求人情報

インハウス旅行会社に聞く コロナ禍との戦い―ダイセルグループの共栄殖産 梶田宏之氏

  • 2020年12月14日
共栄殖産 営業部リーダーの梶田宏之氏

 今年は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による先行きの不透明感を拭えないまま年末を迎えることとなった。誰もが不安な気持ちを抱えて口も重くなるなか、化学系の素材を扱うダイセルグループのインハウス、共栄殖産の梶田宏之氏が、少しでも業界のためになるならと弊誌のインタビューに応じてくれた。同社の現在の出張の動向や就労状況、今後の見通しについて伺った。インタビューは11月26日に実施した。(聞き手:弊社代表取締役社長兼トラベルビジョン発行人 岡田直樹)

-まずは貴社の概要を教えてください

梶田宏之氏(以下敬称略) 煙草のフィルターやフィルムなど、主に化学系の素材を取り扱うダイセルのインハウス旅行会社です。従業員はグループ全体で11000名ほど。共栄殖産は大阪本社と東京営業所の2箇所に拠点を置き、グループ企業に向けて旅行手配業務と保険の代理店業務を行っています。

 旅行事業はグループ会社の海外出張手配に特化しています。以前は国内出張も手配していましたが、リーマンショック後は採算が取れないということで出張者自身に任せるようになりました。保険事業では従業員の自動車の保険や団体傷害保険、工場等の管理財産、海上貨物、生産物など企業活動に関わる保険を取りまとめています。

 旅行部門は社員3名と派遣社員1名の4名体制で、東京、大阪それぞれ2名ずつで運営しています。親会社の出張については、一部個人で手配するケースや同行する他企業にまとめて依頼するケースもありますが、9割方を当社で手配しています。グループ会社についてはまちまちですが、グループ全体では約8割が当社の扱いです。

-COVID-19の業績への影響はいかがでしょうか

梶田 一昨年は年間で約2200名の扱いがありましたが、今年は短期での出張はほぼなくなっており、11月はビジネストラックで1名シンガポール行きの手配があったのみでした。今は専ら赴任者や帰任者の手配を行っています。

-現在の就労状況についてお聞かせください

梶田 ほぼ在宅勤務になっているものの、特別休暇は適用せず、通常通りの勤務としています。これまでは仕事量に限りがあったため、旅行部門のスタッフには有給休暇の積極消化を呼び掛けていましたが、最近では保険業務や総務の手伝いなどにも当たらせています。

 ビザの申請などどうしても必要な場合のみ週1回程度出社していますが、在宅で業務ができるスキームは整えているため、COVID-19収束後も出社は3割程度になる見込みです。ビザの申請については航空券の手配にも影響するため、現時点ではアウトソースは考えていません。

 グループ全体としてはCOVID-19に起因するレイオフ等は行わず、経費削減や人員配置の転換で対応しています。旅行部門でも今後需要が完全には戻らないことを見据えて、他部門の業務を兼任していく道を探っています。