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【コロナに負けず】ホテルパームロイヤルNAHA代表取締役総支配人の高倉直久氏

沖縄旅行者、21年も19年比半減か
民間の感染防止策が不可欠、「徹底除菌ルーム」も

インタビューはオンラインで実施した

 コロナ禍での国内旅行需要の喚起策として、政府は7月22日から大規模キャンペーン「Go Toトラベル」を開始した。スムーズな滑り出しとは言えない状況ながら、旅行会社や宿泊施設も需要を獲得するべく取り組みを進めている。そうしたなかで、夏の旅行先として人気の高い沖縄の宿泊施設はどのような対策を講じているのか。那覇市にある全170室の「ホテルパームロイヤルNAHA国際通り」で代表取締役総支配人を務める高倉直久氏に、現状と今後の見通しを聞いた。インタビューは7月29日に実施した。(聞き手:弊社代表取締役社長兼トラベルビジョン発行人 岡田直樹)

沖縄観光の現状についてお話をお聞かせください

高倉直久氏(以下敬称略) 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で、那覇については4月の宿泊稼働率が20%未満まで落ち込んだ。5月は我々を含め大体のホテルは休業に追い込まれたが、6月から営業を再開し、予約は徐々に戻りつつある。我々の6月の稼働率は約30%未満で、他も同じくらいと聞いている。

 7月も徐々に持ち直し、例えば我々の稼働率は約55%まで回復した。一方で、ADR(平均客室単価)はだいぶ下がり、安売り合戦のようになっている。沖縄県が県民の県内旅行の代金を補助する「おきなわ彩発見」キャンペーンを実施したことで、宿泊料金が高い北部のラグジュアリーホテルなどはその恩恵を受けたようだが、那覇市のホテルにはあまり効果がなかったと聞いている。第2弾は8月も対象なので、まんべんなくお客様が来るよう期待したい。

 8月はGo Toトラベルに期待していたが、東京都発着の旅行が除外された。沖縄の場合、首都圏からの観光客が全体の6、7割を占めるので、除外により旅行を中止するお客様が相次いだ。予約の方がキャンセルよりもまだ多いが鈍化している。Go Toトラベルが良い形で起爆剤となると見込んでいたので、大きな痛手だ。

 Go Toトラベルは、発表は早かったが中身が全然もまれていなかった。もっとシンプルな仕組みで開始すればよかったと思う。旅行者それぞれが手続きをすると受ける側も手間がかかる。例えばホテルで対象のプランを作り、月末締めにしてホテルが翌月国に請求するのはいかがだろう。また、主要な宿泊団体に手数料を支払い業務委託するほうがシンプルだ。キャンペーンを始める前に、旅行会社やホテル関係者など、対象とする業界の意見にもう少し耳を傾ければよかったのではないか。