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「ポスト・コロナ」のツーリズムとは-GoogleやIATAなどが現状と今後を議論

香港政観が大規模オンラインフォーラム開催

回復はファミリーとカップルが牽引か

モデレーターのキング氏と話すIATAのアレキサンダー・デ・ジュニアック氏

 COVID-19が消費者マインドに与える影響も話題として取り上げられた。Googleのハーマイオニー氏は、旅行における健康への関心が高まっているのはアジア太平洋(APAC)と世界で共通しているが、「旅行実施に関してはAPACでは経済面の懸念が大きく、他のグローバルマーケットでは輸送面を懸念している」という。

 また、GoogleはAPACの消費者がポスト・コロナに望む旅行形態にも触れ、需要回復を牽引するのはファミリー旅行、次いでカップル旅行で、目的地はビーチや自然に触れられる場所を希望する意向が多いとした。またAPACの旅行者が重視する要素としては全体の20%が衛生面を挙げていることを紹介。また30%の旅行者が挙げた「予約の柔軟性」に着目しているとした。予約の柔軟性に関してはTrip.comのサン氏も「ポスト・コロナのニューノーマルではキャンセル自由な予約を望む傾向が強くみられる」との見解を示している。

ポスト・コロナへ具体的取り組みも

 さらに、各分野において需要回復への動きが具体的に始っていることも報告された。UFIによると、香港では2月初旬から止まっていた展示会・見本市がすでに再開しており、コロナ禍以降初めてのイベントとして5月23日には香港ウエディングフェアーが香港コンベンション&エキジビションセンターで開催された。

 UFIのハッテンドルフ氏は今後の展望として「オンラインとフェース・トゥー・フェースを組み合わせたハイブリッドイベントが重要性を増すだろう。現在はオンサイトで様々なサービスが可能でデジタル化は欠かせない。ただしすべてをオンラインで行うことは不可能で、人が集う価値は代替できない。身体的な移動を伴う直接のやり取りがビジネスに欠かせないからだ」としている。

 Trip.comは、パンデミック発生以来、パートナーに対して10億人民元以上を財政支援し5億人民元分の前払いで事業継続を助けている。また5億ドルを投じて割引旅行オプションを提供し需要回復に努めている。

 ホテル業界でも取り組みは始動している。香港&上海ホテルズのCOO兼エクゼクティブ・ディレクターのピーター・C・ボーラー氏によると、ホスピタリティ業界は健康と安全を確保するニューノーマル化を進めつつあり、「すでに以前からデジタル化を進めAIやロボットの活用も進めているが、こうした流れを加速していくことになる。ゲストの信頼を取り戻し安心して宿泊してもらえる環境を整えていかねばならない」としている。