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「ポスト・コロナ」のツーリズムとは-GoogleやIATAなどが現状と今後を議論

香港政観が大規模オンラインフォーラム開催

需要回復、近距離へのニーズ高く

 ただし、需要回復に向けて明るい兆候についての指摘もあった。Googleの調査では消費者の旅行意向について、6ヶ国以内に国内旅行する意向を持つ割合が25%で、海外旅行に関してはAPACが世界平均を5ポイント上回る15%となっている。

 Trip.comも、アジア各国の消費者のうち、旅行をすべてキャンセルしたのではなく延期を選択した旅行者が40%から50%いることや、20年中に旅行を計画している消費者の割合が香港、シンガポール、フィリピンでは50%を超えているといったポジティブなデータを示した。

 想定される需要回復の形については、国内旅行や近距離の海外旅行が先行するという共通見解が複数のパネラーから示された。マッキンゼーのサクソン氏によると、経済回復に対する消費者の見方は、「中国が楽観的であるのに対し日本はやや悲観的な傾向が見られる。人々はパンデミックにより仕事や経済的収益を失い旅行は減少せざるを得ないだろうが、中国では海外へ行けない旅行者の需要が国内へ向い活況を呈すだろう」と予想する。

 Trip.comの調査では、今後の旅行計画における旅行目的地は75%が近距離を希望しており、人気デスティネーションのトップ3はタイ、シンガポール、日本だった。また各国での国内旅行シフトが顕著で、なかでも日本は国内宿泊旅行を望む者が60%いる。同社のサン氏は「COVID-19の影響はあるものの、旅行市場の基盤自体は健全であり、人々の旅行意欲は途切れない。回復は国内旅行あるいはショートホールの旅行から期待できる」とした。

 IATAも、大陸間移動は今年末でも50%から60%の回復率に止まると予想するが、ジュニアック氏は「北米、欧州の大陸内移動に関しては第3四半期から第4四半期には回復へ向かうだろう。航空移動の信頼回復はチャレンジングな取り組みとなるが、人々が航空機を使う旅行を求めていることに疑いはない」と述べた。

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回復はファミリーとカップルが牽引か、ポスト・コロナへ具体的取り組みも