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五輪や羽田枠拡大で飛躍、出国2000万人達成後は-年頭所感(1)

JTB代表取締役社長執行役員 高橋広行氏(高ははしご高)

  平成から令和へと新しい時代を迎えた昨年はまさに「グローバルMICEの年」だった。即位の礼の関連式典があったほか、大型の国際会議も複数開催され、そしてラグビーワールドカップ日本大会が日本中に熱狂と感動を巻き起こした。世界中から訪れた方々には各地の豊かな文化や地域の魅力、そして日本人のおもてなしを感じてもらえる絶好の機会となった。年間訪日外国人旅行者数は、日韓問題の影響が大きかったものの全体としては引き続き好調に推移し、日本人の海外旅行も2000万人市場へと伸長した。

 一方で台風や大雨といった自然災害も多く発生し、被害を受けた地域も広範囲にわたり、年が明けても復旧は道半ばの状態にある。そして、沖縄県の象徴でもある首里城の大部分が焼失する痛ましい火災も発生した。これらの災害からの1日も早い復旧を願い、あらゆる支援活動を継続する。

 今年はいよいよ東京オリンピック・パラリンピック競技大会が開催される。当社はオフィシャルパートナーとして公式観戦ツアーや、横浜での日本初のホテルシップを展開する。またラグビーワールドカップ大会でスポーツホスピタリティ商品を販売した実績とノウハウをもとに、協業先とともに「東京2020オリンピック競技大会公式ホスピタリティパッケージ」の販売を開始している。

 今回の五輪をオールジャパンで盛り上げ、来年のワールドマスターズゲームズ関西、そして2025年の大阪・関西万博へと続ける流れのなかで、訪日客には日本国内を周遊観光していただき、広く日本の良さを知っていただく機会とすること、そして各国から訪れる人々との交流によって2000万人市場となった日本人の海外旅行をさらに伸長し、双方向の交流人口の増加につなげることが重要だと思っている。交流創造事業をドメインとする当社として、その役割をしっかり果たしていきたい。

 旅行市場においては「ウェブ化」や「FIT化」、急速に進展しつつある「ダイナミック化」などの環境変化に対応する。お客様との最大の接点となっているウェブについては、重要な販売チャネルの1つとして強化し、デジタルとヒューマンタッチを融合したサービスの提供によりお客様のニーズに応える。また、我々が持っていない技術やノウハウ、企業文化を持つ事業パートナーとの戦略的な連携も含めてソリューションビジネスを推進する。

 2020年は「第三の創業」と位置付けた経営改革をさらに推し進め、旅行にとどまらない、「ひと」「もの」「情報」のすべてが交差する「交流」の場面をフィールドとして、「JTBならではの価値」の提供をめざす。

エイチ・アイ・エス専務取締役 HIS JAPAN プレジデント 中森達也氏

 HISは創業40周年目の年を迎えた。創業時の1980年にはたった390万人だった海外渡航者は、今では2000万人突破を現実として捉えることができる。しかしながら、日本の出国率は未だ15%程度であり、パスポートの保有率も25%ほどと、他国に比べても消極的だ。日本を元気にするため、旅を通じて人類の創造的発展と世界平和に貢献する。

 旅行とは平和産業であり、人と人、人とコトなどの交流の機会を創出し、相互理解を深める。旅からしか味わえない感動をお客様にどのように提供していくのか。今後の市場拡大には、私たち旅行会社の役割が需要であると感じている。

 2020年は東京オリンピック・パラリンピックイヤーで、旅行業界においては予約のタイミングなどが、例年とは異なる動きを見せるのは間違いない。一方、訪日旅行にとっては追い風となり、世界中から将来のリピーターを獲得する機会となる。HISも海外現地法人によって、ローカルマーケットに日本の魅力をさらに発信していきたい。また、旅行会社ならではの送客力とホテル事業で、日本各地の地域活性化にも寄与したい。

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