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スクート比留間氏、日本の海旅「まだまだ伸びる」-LCCも成熟へ

  • 2019年7月21日

まずは認知度向上を最優先、足場固めへ
関空/ホノルル線の再開にも意欲

-17年12月に開設した関空/ホノルル線を、今年5月に運休しましたが

比留間氏 比留間 シンガポール/関空線を延伸してホノルル線を運航していたが、需要が当初の想定を下回ってしまった。搭乗率はそれほど悪くはなかったが、(同路線を運航しているD7などとの)価格競争に陥る可能性を考えて、運休を決めた。ただし、残った週4便のシンガポール/関空線については引き続き堅調だ。

 今後の運航再開の可能性については、シンガポール航空(SQ)グループのLCCである立場から、バランスやシナジーを見極めて検討していくことになる。ハワイは日本人にとって人気が高いので、TRにとっても魅力的なデスティネーションであることに変わりはない。

-今後の路線展開の見通しについてお聞かせください

比留間 TRについては、当面は新たな日本路線の開設や増便の計画はない。機材数にも限りがあるので、路線の拡張よりも現在の足場をしっかりと固めることを優先する。そのためには訪日客だけではなく、日本発の利用者が大切になる。TRにとって現在の最大のマーケットは中国だが、日本にも伸びしろはまだまだあると認識している。

 XWについては、今年中をめどに新しい日本路線を開設することを計画しており、現在は就航地の決定に向けた検討を進めているところだ(関連記事)。

-日本航空(JL)子会社のZIPAIRが成田/バンコク(スワンナプーム)線の開設を発表し、バニラエア(JW)との統合を予定するピーチ・アビエーション(MM)が中距離用機材の購入を決めるなど、日本でのLCC競争はさらに厳しくなると見られています

比留間 短期的には、座席供給増による競争に勝つために販売を強化する必要があるだろう。しかし中長期的には、日本のLCC市場の活性化や成熟化につながるのではないかと考えている。そのなかで我々は、機材数やネットワーク、SQグループの一員であることなどで強みを打ち出し、他社と差別化していけると考えている。

-競争環境とともに、LCCの定義やあり方も変化してきているように感じます

比留間 LCCとはいえさまざまなサービスを提供したり、FSCもLCCに近いサービスを提供し始めるなか、確かにLCCの定義は変わってきている。しかしどちらも空の交通手段であることに違いはない。市場がさらに成熟し、そのなかの選択肢として「ラグジュアリーな旅行をしたいのでFSCを」「今回は家族旅行なのでLCCを」と旅行の形態にあわせて選ばれるようになってくれば、「LCC」という言葉そのものも変わってくるかもしれないと思う。

 TRは「ハイブリッドLCC」を標榜していて、ローコストで運航してはいるが、単なる格安航空会社ではないことをマーケットに訴求していきたい。快適なB787型機を使用し、機内ではWiFiやストリーミングサービスの「ScooTV」など、さまざまなサービスを提供している。これらのアンシラリーサービスの販売も強化し、収益力を高めていきたいと考えている。

-ありがとうございました