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「宿公式」で直販増加へ 日本旅館協会IT戦略委員長・石橋政治郎さんに聞く(1) メタサーチをプラットフォーム化

 一般社団法人日本旅館協会でIT戦略委員長を務める石橋政治郎さん(大阪・大和屋本店)に会員宿泊施設の自社ホームページの活用や現状について聞いた。

 −以前から石橋さんは日本旅館協会での立場から旅館の自社ホームページでの直販力を高める必要性を訴えてこられています。昨今の自社ホームページやオンライントラベル・エージェント(OTA)など、オンラインでの客室販売の状況はいかがでしょうか。

 石橋 ここ数年、海外のお客様を中心として自社ホームページからの直販は、著しく低下しています。

 −その原因はなんでしょう。

 石橋 メタサーチ(料金比較サイト)の台頭だと考えております。お客様がご自身で宿の料金を比較検討いただくなかで「ベストレート」(最低料金保証)を提唱している宿泊施設さんは、これまで自社ホームページからの予約を獲得していたと思います。

 しかし昨今、メタサーチ内で簡単に最安値がみつかるようになってきて、メタサーチでの利用が増えていることが大きな原因になっていると感じています。

 −今後もこの傾向は続くと思われますか。

 石橋 トリバゴなどが日本国内でのシェア拡大を目指し、テレビなどで行っている広告活動は目を見張るものがあります。これまでトリバゴは海外のお客様がお使いになるメタサーチでしたが、あれほど頻繁にテレビでコマーシャルが流れていますので、国内の販売にも影響が出始めています。このままの状況が続けば宿の直販は、さらに低下するのではないでしょうか。

 −メタサーチの台頭は脅威というわけですね。

 石橋 そうではありません。メタサーチに自社ホームページに掲載しているプランが販売されていないことに問題があります。そこで私どもの委員会で予約エンジンを取り扱うSYS社様にご協力をいただき、OTAや旅行会社を介さずにメタサーチの画面上で自社ホームページのプランを「宿公式」という名称で掲載できるようにしました。DRS(ダイレクトリザベーションシステム)という直販売を支援するシステムを導入することで、メタサーチ上でじゃらんや楽天、エクスペディアと並び「宿公式」という名称で自社ホームページを販売できるようになったわけです。

 メタサーチにもよりますが、低料金の順番でプランが掲載されている場合、ベストレートを守っていれば、ほとんどの場合「宿公式」プランが最上位に表示されることになります。そうなってくると脅威であったはずのメタサーチが「宿公式」プラン販売のプラットホームへと変わります。

 「宿公式」プランは宿公式でしか販売していないオリジナリティのあるプランをメタサーチ上に掲載することは、宿公式ならではのベネフィット(付加価値)を提供することになり、効果的だと思います。

 (次の記事)「宿公式」で直販増加へ 日本旅館協会IT戦略委員長・石橋政治郎さんに聞く(2) 直販支援「DRS」導入を


情報提供:トラベルニュース社