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タイ国際航空、「最重要収益源」の日本で貫く攻めの路線増強

  • 2019年5月13日

LCCの猛追には「価格差以上の魅力」で勝負
仙台や広島への就航に大きな関心

-現在の日本路線の概況を教えて下さい

キッティクン氏 キッティクン 現在はバンコク(スワンナプーム)から、日本の主要なゲートウェイである東京(成田と羽田)、大阪、名古屋、福岡、札幌に就航している。近年の日泰間交流は活発で、日本からのアウトバウンドも日本へのインバウンドも伸びているが、TGの日本路線の利用者は日本発が50%、タイ発が50%とバランスがいいのが特徵だ。その他の路線も需要は拡大しているが、例えば北欧路線は北欧発の需要が80%を占めていて、あまりバランスが良いとは言えない。

 利用者の内訳は70%がレジャー需要、30%がビジネス需要で、18年の平均ロードファクターは80%弱だった。週80便以上を運航するなかでは高いレベルを維持したと思う。80%を超えた17年よりはやや落ちたが、新たなLCCの参入や、北朝鮮のミサイル発射問題などが影響したものと見ている。

 路線の増強にも積極的に取り組んでおり、着任後の18年夏ダイヤでは成田/バンコク線を1日3便から1日4便に増やした。中部線は昨年11月に週10便からダブルデイリー化し、12月には新千歳線も週10便に増やした。羽田線についても、できれば現在の1日2便を1日3便に増やしたいと考えている。

 日本地区の責任者としては、日泰間の週間便数を計90便くらいには増やしたい。新規の就航地に関しては、仙台や広島などを検討している。仙台線は以前に運航しているが、冬場を中心にタイ人の旅行需要を見込むことができ、有望だと思う。広島は中国地方へのゲートウェイとして期待できる。

-現在の販売体制についても教えて下さい

キッティクン 日本市場での販売は、80%が旅行会社経由または法人契約で、自社ウェブサイトなどによる直販は20%にとどまる。ここでいう「旅行会社」はOTAを含むが、TGはリアルエージェントを重視している。

 旅行会社や法人に対する営業を支えるため、東京、名古屋、大阪、福岡にオフィスを設けており、東名阪のオフィスでは旅行会社営業と法人営業の2チーム体制でセールスにあたっている。福岡は1つのチームで旅行会社と法人の両方を担当し、オフィスがない札幌は東京の営業チームがカバーしている。

 課題はやはりローシーズンの需要の取り込みで、80便以上を運航するだけに需要の変動には上手く対応していく必要がある。日本とタイは双方向でバランス良く需要があり、旅行シーズンも違うので補完しあえる部分もあるが、どうしても落ち込む時期はある。年末年始の休暇明けの1月中旬以降や、5月中旬、6月から7月初旬にかけては苦労する時期で、需要の喚起と取り込みを強化していかねばならないと考えている。