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中小企業の事業承継対策 ANTA大阪とOATA、合同で後継者育成へセミナー

 一般社団法人全国旅行業協会大阪府支部(吉村実支部長=歓喜旅行サービス)と協同組合大阪府旅行業協会(徳原昌株理事長=大阪国際旅行)は3月5日、大阪市浪速区の難波市民学習センターで「事業承継&健康管理合同セミナー」を開いた。33人が参加した。

 第1部の事業継承セミナーではスポーツ代理店の取締役で教育機関や企業・行政でキャリアデザイン、経営学の講座を行うOffice178の稲葉真二さんが「すぐに準備したい事業継承対策−最近の事例からみる傾向と支援策」と題して講演した。

 稲葉さんは日本の企業の99・7%が中小企業で、中小企業が日本の経済を支えている、と指摘。しかし今後10年で平均引退年齢とされる70歳を超える中小企業・小規模事業者の経営者は約245万人。そのうちの約半数に当たる127万人が後継者未定で、このまま放置すれば2025年までに約650万人の雇用、約22兆円のGDPが失われる可能性があると指摘した。

 中小企業にとって深刻な事業承継だが、稲葉さんは「選択肢はまず潰すのか、続けるのかを決めること」から始まると述べ、次は親族か従業員、M&Aのような外部なのか、誰に承継するのかを判断すべきだと語った。

 また「以前は20年以上続く企業の85%が親族への承継だったが、最近はオーナーが自社株を持ち、社長の地位を番頭格に譲るケースが増えている」ことを紹介した。

 いずれにしても事業承継を決めたのなら、最大3人までの後継者を育成できるよう社労士や中小企業診断士などと相談しながら自信の思いを伝える努力をすべきだろう。

 このあとの健康管理セミナーではダンス教師として指導を続けている足立和歌子さんが「健康回復に効く体の内臓ストレッチ」をテーマにタオル体操を実施した。

 今回のセミナーに関して吉村支部長は「今年になってOATAとの合同セミナーは2回目になる。登録更新を行わない旅行会社が増加傾向にあって、今後の会社経営を見据えるにはいいセミナーだった。健康セミナーも経営者が元気でないと事業承継できないので、いい組み合わせのセミナーになった」。徳原理事長は「大阪府支部とはこれまでから様々な講習や研修を一緒に行ってきた。これからも順次取り組んでいきたいので、ご協力をお願いしたい」と話した。

 合同セミナーに先駆けて大阪府支部では同日、セミナーが始まる前に受入機関との商談会を行った。旅行会社24社、受入機関38社が参加した。

 吉村支部長は「我々、中小旅行会社が勝ち残っていくには企画力しかない。企画力を養う情報を仕入れてそれぞれ会社に持ち帰り営業につなげる、有意義な商談会にしてほしい」とあいさつ。

 商談会は予定していた人数より多くの参加者があったため、2会場で開催。参加した受入機関の営業担当者は旅行会社へ地域の最新情報と各施設の特徴をアピールしていた。


情報提供:トラベルニュース社