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アップルワールドがホテルのメタサーチ開始-2月目途に航空券の掲載も

  • 2018年12月3日

BtoBtoCで新事業、将来は「旅行素材の一括検索サイト」に
BtoBでもホテル以外の取扱を検討

主力のホールセール事業も進化、仕入先にOTAを追加

唐津氏  一方、主力のホールセール事業も進化している。今年3月にはエクスペディア・アフィリエイト・ネットワーク(EAN)と提携。このほかに大手OTAとも提携しており、同社ホールセール事業部取締役執行役員の唐津紳一氏は「ホテルの仕入先は従来のツアーオペレーターとOTAとのハイブリッドになった」と説明。固定料金だけでなく変動料金で提供する客室在庫も増えたといい、「流通プラットフォームをOTAにも開放したことで、よい相乗効果が出ている」と自信を示した。ただし、OTAについては全商品を扱うのではなく、仕入れと流通のチャネルマネージメントにより、在庫数の適正化を進めていくという。

 このほか、唐津氏は今後の課題として「在庫の種類や売り方にも工夫が必要」と語った。現在、同社ではFIT向けレートのホテル在庫をホールセールしているが、その最高予約可能人数は9名。一般的に15名以上が団体と定義されているなかで、15名以上あるいは10名から15名のグループ向けのレートの取り扱いも視野に入れる。そうした需要に対しては、送迎なども組み込んだプランの提供についても検討しているという。

 今後の注力ポイントとしては、海外発海外旅行を扱う旅行会社をターゲットにしたグローバル事業の拡大をあげる。同社は9月に中国のホテルホールセラー「ShenZhen Dida Travel Technology(DIDA)」と提携し、宿泊在庫の相互提供を開始。須崎氏によれば、グローバル事業の取り扱いは少なく、システム開発などの課題もあるものの、訪日市場の拡大を受けて伸びしろは高いと見ている。

 さらに、須崎氏は「ホテルに商材を限ることはない」と発言。需要次第としながらも、将来的にはBtoB事業で他の旅行商材を扱うことも検討していることを明らかにした。

新規事業立ち上げを検討、攻めの姿勢で成長を

新しいロゴマーク  アップルワールドがじげんの子会社になって9ヶ月あまり。コスト削減と将来の成長を見込み、このほどオフィスを移転し、社内組織も変更した。服装も自由にし、役職付きの呼び名もやめた。さらに、コーポレートロゴも変更。アップルのAとワールドのWをりんごの形にデフォルメし、「発想の転換と右肩上がりの成長を表現するデザインにした」(須崎氏)。合理的な業務形態にしたことで、社内の雰囲気は明るくなり、社員のモチベーションも上がっているという。

 新規事業の立ち上げ、既存事業の拡大を通じてビジネスを拡大させているなか、須崎氏は今年度の業績について、「アップルワールドも、じげんグループの他のサービスの成長率と遜色のない成長を残せるのではないか」と手応えを示した。さらに、じげんグループ内での優先順位はあるものの、「チャンスがあれば旅行領域でのM&Aもありえる」との見解を示す一方で、「オーガニックで新規事業を立ち上げることも考えている」と付け加え、将来の成長に向けて攻めの姿勢で取り組んでいく方針を表した。