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クラツーが「若い世代」拡大へ、女性限定新ブランド「fufufu」

  • 2018年12月5日

30代から50代の女性に訴求
専用バスで国内ツアーも

高い満足度の女性限定ツアー、社員のモチベーションアップに

「女性限定ひとり旅」のパンフレット。多くの女性社員の写真が掲載されている(クリックで拡大)  女性向けツアーは、エステなど女性に好まれる要素を盛り込んだツアーのイメージがあるが、横畠氏は「今は価値観が変わっており、お客様にとっては日常であり、旅行代金も高額になるので魅力的ではない」と市場の変化を指摘。むしろ、旅行先ならではの体験、例えば八丈島では「手ぶらのガイド付き釣り体験」などが人気だという。

 さらに女性限定ツアーには別の産物がある。登山ツアーや1人旅ツアーのパンフレットを見ると、企画担当をした女性スタッフの表情豊かな写真が多用され、誌面に華を添えている。「スタッフが掲載に積極的で、率先して写真を撮ってくる」と横畠氏。“fufufu”の企画に前向きな、スタッフの雰囲気の良さが伝わってくる。

 実はツアー後のアンケートで、女性の参加者は感想や要望を丁寧に書く人が多く、それが次の企画に繋がる。「そうしてツアーを磨き上げていくと、お客様が喜んでくださる。女性限定ツアーは満足度も高い」と立石氏。なかでも、登山ツアーは「満足」の回答が96.5%だ。「こうすれば喜ばれると思って企画したツアーに、お客様から賛否を含めてしっかり反応がいただける。それがスタッフのモチベーションアップにも繋がっている」という。

専用バスにはコーヒーやハーブティーを振舞うカフェスペースを用意。上部に花をあしらい「かわいい」を演出  旅行各社が女性をターゲットにした商品に力を入れるなか、同社の強みはやはり、「1人旅、そしてテーマ性」(立石氏)。横畠氏はそのキーワードとして「共感・共有」を挙げ、「参加者は『これ美味しい』とか、『かわいいね』など、旅行で体験したことやその思いを共有したいと思っている」と説明。「1人旅でも、1人じゃない。日中は皆で賑やかに過ごし、夜は1人部屋でプライベートをしっかり確保する。添乗員付きのツアーで、そんなメリハリが効いているのも人気の理由では」と話した。

 趣味のあう顧客同士の交流ができるクラブを作り、人と行く旅行の楽しさで事業を拡大してきたクラブツーリズム。1人旅ツアーは1997年に開始しており、以前から需要が強くあったが、当時は相部屋使用だった。市場や生活環境、それに伴う個人の志向の変化にあわせて微調整しながらも、クラブツーリズムを支える旅行の根幹は変わらず、同社の強みとなっている。