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グローバル時代の取りっぱぐれ回避術-どうする海外との取引

日本を出れば掛売り中心、支払遅延も頻発
適切な与信管理で倒産・不払い対策

与信管理は「スタッフも守る」
旅行業界における浸透はこれから

高橋氏  最後に登壇した営業部バイス・プレジデントの高橋晋人氏は、「輸出取引における有効な与信管理手法について」と題したプレゼンテーションで、旅行会社における同社の保険商品の導入事例を紹介。まずは、東南アジアで訪日旅行を取り扱う大手旅行会社の取引先が倒産し、数千万円の代金未回収事故が発生したA社が、失敗の反省から「スタッフを守るために」導入を決定した例について紹介した。

 A社は大きな取引を獲得するために、信用調査会社の評価を確認した上で、やむを得ず相手側の要求を飲んで事後清算を認めたところ、運悪く取引先が倒産。事前の代金徴収を基本方針とするA社では、このようなケースが発生した場合、事業拡大に向けて尽力するスタッフを救うことができないことから、海外に広くネットワークを持つコファスグループの保険商品を導入するに至ったと説明した。保険対象国はアジア、ヨーロッパ、アフリカなどの13ヶ国で、契約期間は1年間、取引実績に応じて定める年間保険料は200万円台。

 高橋氏はこの事例における導入のメリットとして、事後精算の場合でも保険限度額までは取引を続けることができ、スタッフが安心して営業活動に集中できるようになったことを説明。あわせて、現地の取引先の信用調査についてもコファスグループが担うことで、外部の専門企業に依頼する必要がなくなったこと、取引先の経営状況やその国の情勢などに応じて保険限度額が随時更新され、最新情報の収集に時間と費用を割く必要がなくなったことも強調した。A社にとって保険料は負担になるものの、「未収事故があっても会社が社員を守る環境は大事」との考えから、契約は今後も続く見通しという。

 そのほかの事例としては、与信管理に関する規定を定めず、社長が長年にわたり信頼関係を築いてきた企業とのみ取り引きを続けてきたところ、「起きるはずがなかった」不払い事故が発生してしまったB社の事例を紹介。現場から「債権保全について何かしらの検討をしなくては」と声が挙がり、最終的には導入決定に至ったことを説明した。保険対象国はヨーロッパ、北米、中南米などの6ヶ国で、契約期間は1年間、年間保険料は200万円台。

 この事例については、商品の導入により取引先への与信限度額(クレジットリミット)を設定するようになり、継続的な取り引きが可能になったことや、新たな国の取引先についてもクレジットリミットを設定し、新たなビジネスを展開できたことを強調。与信管理の流れを標準化しながら、期中におけるクレジットリミットの増額など柔軟な対応も可能であることから、B社からは高い評価を得ているという。

 そのほか、海外現地企業との取り引きの必要性が急激に増し、事前の与信管理が追いつかなくなったC社が、コファスグループの保険商品により信用調査から与信限度額の設定、債権の保全・回収に至るまでの包括的サービスを受け、リスクヘッジとともに業務量の大幅削減を実現した事例も紹介。高橋氏はサービスの特徴について「補償だけでなく、情報提供についても充実しており、適切な与信管理が可能になる」とアピールした。保険対象国はアジア、ヨーロッパ、アフリカなどの31ヶ国で、契約期間は1年間、年間保険料は300万円台。

 なお、これらの保険料は中小の旅行会社にとっては大きな負担となる可能性があるが、同社によれば、これから海外現地企業との取り引きを始める会社には、信用調査データのみの単品販売なども実施しているとのこと。ちなみに日本の旅行業界における与信管理は「大手数社を除けば、まだまだ手つかずに近い状態」で、他の業界に比べて浸透が遅い状況にあるという。