シンガポール、新路線や旅行会社提携が奏功、HISとも-東名2都市で商談会

  • 2018年6月18日

STB日本支局長の柴田氏 シンガポール政府観光局(STB)はこのほど東京と名古屋で2日間にわたりトラベルマート&セミナーを開催した。今年3回目となる今回はシンガポールからホテルやアトラクションなどのサプライヤー25社が来日。参加した旅行会社と活発な商談をおこなった。
 
 セミナーでは冒頭でSTBの日本支局長の柴田亮平氏が、2017年にシンガポールを訪問した日本人旅行者の数が前年比1.1%増の79万2813人となったと発表。「弱含みだが、2015、2016年のマイナス成長から上昇に転じている。2018年はこれをさらにプラスに持っていたい」と語った。
 
 STBでは先ごろ発表した新ブランド「Passion Made Possible」を軸に、6つのテーマを設けてプロモーションを展開。すでにPRを開始している3つのテーマ「観光」「買い物」「美食」に加え、8月から「文化」「体験」「社交」についてもピーアールを開始する。さらに2019年1月は、近代シンガポール建国の父とされるスタンフォード・ラッフルズ卿がシンガポールに上陸してから200年の節目であることから、数々のイベントが催される予定だという。
 
名古屋会場の様子。名古屋での商談会は初開催 またシンガポール航空(SQ)は今年5月から成田/シンガポール線に導入しているB787-10型機について紹介。さらに2020年に予定されているシルクエアー(MI)統合について、フラッグキャリアのSQとローコストキャリアのスクートという2つのブランドに分けることで、それぞれのブランドと棲み分けを明確にし、ビジネスの効率化や利用者に向けたわかりやすいサービス提供などをはかっていくと説明した。
 
 柴田氏は本誌の取材に対し、日本人訪問者数について「最終の目的としているわけではないではないため数値目標は特に定めていない」としたうえで「シンガポールの認知度向上をはかるのもSTBのミッションのひとつ。東京以外の地域にも知名度を浸透させるなど、時間を要する様々な戦略があり、総合的に考えると単に数字を追っていけるものではない」と話す。

25のサプライヤーが参加するなど日本市場への期待は高い それでも2017年のシンガポールへの日本人客が若干ながらプラスに転じた理由として、柴田氏は、2017年秋に期間限定で運航を開始したMIの広島直行便就航と、ジェットスター・アジア航空(3K)の那覇/シンガポール線就航、そしてJTBとMOUを締結し、2017年4月から1年にわたって実施したグローバル・デスティネーション・キャンペーンの成功を挙げた。特にJTBのキャンペーンで同社がシンガポールに送客した日本人数は、当初の目標9万人に対して12万8481人に達したという。

 JTBのキャンペーンでは、研修旅行として約470人、さらに社員旅行やモニターツアーで約1000人のJTB社員がシンガポールを訪れたほか、STBも日本各地のJTB支店を訪れ朝礼に参加したりセミナーを実施したりした。

 柴田氏は、「このキャンペーンを通して販売担当者を含めた旅行会社社員がシンガポールを実際に体験するなど、知る機会となったのが大きい。先々への投資として意義があった」と評価。その上で、「日本最大の旅行会社が1年にわたりシンガポールを発信したことで、シンガポールがクオリティの高いデスティネーションであるというブランディングができた」ことも成果とかたった。

 なお、STBではMOUは締結していないもののJTBとの協力体制を引き続き継続。さらに今年4月からエイチ・アイ・エス(HIS)と協力し、全社的規模での全国展開キャンペーンを実施していく方針だ。