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HomeAwayと楽天、古民家民泊に参入、関連団体と連携

  • 2018年6月5日

記者会見での記念撮影  昨年から提携関係にあるHomeAwayと楽天LIFULL STAYは6月4日、新たに全国古民家再生協会を加えた3者連携により、古民家を利用した民泊事業に乗り出す計画を発表した。3者は日本全国に約128万戸ある古民家のうち約64万戸以上がバケーションレンタルとして活用できると試算。これらの物件を国内外の旅行者に宿泊施設として提供することで、古民家の認知度や価値の拡大、地域の活性化をはかるとしている。

 発表会見にゲストとして出席した観光庁観光産業課民泊業務適正化指導室室長の波々伯部信彦氏は「今回の提携は地域の観光資源としての古民家の有効利用につながるもので、6月15日から施行される民泊新法がめざすところともマッチしている。観光客の地方への誘致拡大、地域活性化に大きく貢献することを望む」と期待を述べた。

 3者による計画では、古民家のバケーションレンタルに必要な機能を「古民家物件の供給」「開発支援・運用」「販売マーケティング」にわけ、3社がそれぞれの強みを発揮できる役割を担当する。古民家物件の供給役を担うのは、古民家再生を手掛ける工務店や建築士などで構成される全国古民家再生協会。同協会は今回の提携の一環として6月4日から古民家を宿泊施設として利用する際の基準となる「古民家宿泊鑑定」制度を立ち上げ、耐震性や快適さなど20項目に沿った鑑定を実施する。

 鑑定は同協会に所属する「古民家鑑定士」がおこない、認定済みの物件には安心・安全な古民家物件であることを担保する「古民家宿泊鑑定済ロゴ」ステッカーを発行し、対象物件に提供する。さらに、古民家再生には一定の修復費用が必要となるため、共同所有制度「古民家オーナーズクラブ」を設立し、費用負担の軽減をはかる。

 古民家の開発支援と運用を担うのは楽天LIFULL STAY。必要となる清掃会社の手配や24時間の問い合わせ対応および多言語対応、アメニティ類の代理購入、空室管理・料金管理などに必要なサービスを物件オーナーに提供する。将来的には楽天グループ企業が開発中の無人チェックインシステムの提供も検討する。

 また民泊向けのブランディングと運用代行サービス「Rakuten STAY」で、物件のデザイン監修や施工管理、運用代行、賠償責任保険などについて、一括して支援する。なお、楽天LIFULL STAYはすでに釜石市や鯖江市と提携して空き家の利活用に取り組んでおり、古民家利用もその流れの一環。

 HomeAwayは、エクスペディアグループで世界最大級のバケーションレンタルサイトを運営する強みを生かし、「鑑定済古民家物件」の販売とマーケティングを担う。同社が世界7ヶ国の約1000人を対象として4月に実施した事前調査によれば、メインユーザーである家族客やグループの90%以上が古民家宿泊に興味があると回答。訪日外国人は日本の文化や歴史に対する関心も高いことから、日本支社長の木村奈津子氏は「家族やグループで長期滞在する訪日外国人にとって、古民家滞在は旅行の魅力的な目的になる」とアピールした。