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20年に向け体制強化、「新たな価値」の創造も必須-年頭所感(2)

ANAセールス代表取締役社長 今西一之氏

 昨年の航空セールス事業は、全日空(NH)のプレゼンス向上に向けた取り組みや、国内線ネットワークを活かしたエリアマーケティングの強化により好調に推移した。旅行事業についてはNHのA380型機就航を見据えて、全社でハワイに関する取り組みを強化し、送客数を飛躍的に拡大した。

 国内旅行は、多様なニーズに応えるべく周遊バスを組み込んだ商品やゴルフ商品の拡充、民泊物件とのダイナミックパッケージの展開、VRを活用したサービスの試行など、新たな価値創造に取り組んだ。訪日旅行は、海外の旅行会社向けに多言語の訪日旅行システムを構築し、契約を拡大した。

 今年は2022年までの次期中期経営計画を策定し、「新たな価値創造」による成長戦略と「事業運営体制の抜本見直し」による構造改革に取り組む。加えて、海外・国内旅行のシステムを刷新し、商品検索や予約の利便性を大幅に向上させるとともに、社内オペレーションの業務も効率化する。

 今後は19年以降に予定される首都圏空港の発着枠拡大と、A380型機の導入をビジネスチャンスと捉え、ハワイを中心に海外旅行に関する取り組みを一層強化する。さらに、ドローンやチャットボットなどの最新技術と旅を融合させた、新たな価値創造にも積極的にチャレンジする。これまで以上にお客様に愛される会社をめざすとともに、お客様のニーズや価値に寄り添った旅行商品を提供し、驚きと感動を提案し続ける。


▽ジャルパック代表取締役社長 藤田克己氏

 日本は2020年の大きな節目に向かってさまざまな環境整備を進めており、今年は、旅行会社および観光業界にとって足場固めをおこなう重要な年になるだろう。昨年は継続する海外のテロ事件やバス事故、旅行会社の経営破綻により多くのお客様にご迷惑をかけた。今こそ旅行業界が経営の再点検と仕組みの再整備をおこない、お客様に安心して国内外への旅行を楽しんでもらうため、健全な経営に努めなければならない。

 今年は平昌五輪、サッカーワールドカップ大会などのスポーツイベントや、東京ディズニーリゾート開業35周年などが話題の中心となる。シャンシャン効果の上野動物園、眞子様のご結婚なども平和な世の中を印象づけ、国民の旅行意欲の活性化につながることを期待したい。我々としても昨年の流行語大賞だった「インスタ映え」するような付加価値の開発を続け、ますますお客様に選ばれる商品を提供していきたい。


▽東武トップツアーズ代表取締役社長 坂巻伸昭氏

 昨年はプレミアムフライデーの開始やクルーズトレインの運行拡大など需要の創出と取り込みを目的とした動きが始まり、観光庁も予算増や人員増などで国としての投資を進めた。一方でてるみくらぶの倒産により、旅行会社の責任と体制、弁済制度の見直しなどに世間の注目が集まっており、業界全体による今後の対応が求められている。

 今年は旅行形態や販売チャネルの変化と多様化を受け、従来の旅行業は厳しい状況が続くと想定される。こうした「変化」を「チャンス」と捉え、地方創生をテーマとした国内外の旅行者に訴求できるイベントや旅行素材の発掘、それらをまとめた旅行商品の開発・販売を進める。20年の東京五輪の公式パートナーとしての活動を強化し、スポーツツーリズムの飛躍や、観光を軸とした地域振興、国や地方自治体などとの連携を進める。

 また、20年までの5ヶ年計画に基づく取り組みを進め、21年以降を見据えた経営戦略を構築する。計画の進捗を総括し、強化すべき事業ドメインの明確化、働き方改革推進に向けた生産性の改善などについて、課題解決に向けた方針を策定する。そのためには異業種との協業や提携などの取り組みが必要となる。

 今後は、クリエイティビティとホスピタリティにより差別化をはかり、当社の経営理念である「Warm Heart ~ありがとうの連鎖を~」を基本に、「人が集う旅行業ビジネス」を強化・推進する。

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