新財源検討会、使途などについて議論、次回以降取りまとめ

  • 2017年10月24日

 観光庁は10月24日、新たな財源確保策について検討する「次世代の観光立国実現に向けた観光財源のあり方検討会」の第5回会合を開催し、前回に続き財源の使途などに関する論点整理を実施した。同検討会は、国内外の旅行者の受益と負担のあり方などを勘案した上で、「出国税」などの新財源について検討する非公開の会合。終了後の事務局は、この日も議論の詳細については説明せず、徴収額や得られる予算の規模などに関しては未だに事務局も委員も提示していない旨を伝えた。事務局は、取りまとめに向けた議論を開始する次回会合で、予算規模などを「何らかの形で示す」としている。

 同検討会はこれまで、財源確保の選択肢として俎上に載せられた「出入国」「航空旅行」「宿泊」について、旅行業界や航空業界などからヒアリングを実施。その後、前回会合からは論点整理のための本格的な議論を開始した。事務局によれば、新たな観光財源の必要性についてはすでに委員の「共通認識」が得られ、財源確保の手法としては「出入国」に焦点を当てる方向で議論が進んでいるという。

 主に財源の使途について議論したこの日は、委員からは「既存の施策と新たな施策の両方に充当すべき」「観光資源の磨き上げにも予算措置すべき」といった案が挙がり、それらを受けて座長は「観光関連の施策については省庁横断的なものも多いため、施策を具体的に絞り込みすぎることは適切ではない」との見方などを示したという。導入の時期については「2020年の東京オリンピック開催を見据えて、財源の確保と施策の推進を急ぐべき」などの意見が挙がった。

▽徴収の手法は「税」か-内外無差別「委員も認識共有」

 なお、事務局は財源確保の「手法」の議論については、記者団からの質問に応える形で方向性を示唆。何らかの税の形を取るか手数料の形を取るかについては、手数料とした場合は受益と負担の関係についてより厳格な説明を求められることから、税の形を取ることを推す意見が複数挙がったことを伝え、「事務局としても税の形を考えている」と付け加えた。

 日本人にも負担を求めるか否かについては、改めて国際社会における「内外無差別の原則」について述べ、「外国人からのみ徴収することは難しい」「価格差を設けることも、一方からは徴収しないことと同じ」と説明。「委員にもその認識は共有されていると思う」との見方を示した。

 今後は10月31日に第6回の会合を開催して、取りまとめに向けた議論を実施。議論の状況次第では、その後も会合を開く可能性があるが、11月中には中間取りまとめをおこない、具体策を来年度の税制改正大綱に盛り込む。