週間ランキング、1位はUAグアム欠航、アバンティ営業停止も

[総評] 今週は、ユナイテッド航空(UA)がこの冬スケジュールでグアム線を約140便欠航することをお伝えした記事が1位となりました。現在の便数は週60便で仮に25週で計算すると1500便ですから、約1割に相当する便が欠航することになります。

 グアムについては米朝関係の緊迫化によって需要が急減し、デルタ航空(DL)が成田線の運休を決めたほか香港エクスプレス(UO)も中部空港からの路線開設を延期するなど大きな影響が出ています。そうしたなかでもUAはコンチネンタル航空時代からグアムと切っても切れない深いつながりを持っており、今回の決断は読者の皆様も驚きを持って受け止められたのではないでしょうか。

 もちろん、記事をご覧いただければお分かりいただけると思いますが、なるべく市場に影響を出さないような配慮もなされており、UAのグアム線に対する思い入れが感じられるような気はします。しかし、つい数年前まで全国9路線もあったグアム線が5路線にまで減ってしまうのは残念でなりません。

 地方市場にとっての直行便は東名阪などの大都市圏とは比べ物にならないほど貴重であるはずで、それがなくなるということは、大げさにいえば世界地図からその就航地が消えるのに等しいのではないかと思います。

 また、気になるのがこれからのリカバリーですが、このようなタイミングでグアム政府観光局の日本代表が空席となっているのはどうにも心もとない状況です。それこそ米朝関係を中心に不穏さが増すなかで解散総選挙に突入した社会の構図との近似性も感じられるところで、なるべく早く後任を決め、その方の強いリーダーシップのもとで回復への手立てを講じていただきたいと願うばかりです。

 次に2位には、第1種旅行業者のアバンティリゾートクラブが営業を停止した記事がランクインしました。11日に噂を聞きつけ、12日の朝には張り紙を確認して記事にしましたので弊社が一番先にお伝えできたのではないかと思います。未出発の顧客が1000名を超えるという情報もあったため、てるみくらぶほどではないにしても大騒ぎになるのではないかと心配していたものの、蓋を開けてみればそれほどではなかった印象です。

 この背景を考察すると、どうも大手旅行会社の募集型企画旅行を代売するケースも多かったようで、それが騒ぎの拡大を抑えているのかもしれません。確認が取れなかったので単なる想像ですが、旅行契約が成立していれば、航空券の発券と同様に委託側が代金未収を理由にサービスの提供を拒否することはできないはずで、そのためにてるみくらぶよりも消費者への直接的な影響が出ていない可能性があります。

 一方、今後について考えると、各社の与信管理はますます厳しくなっていくでしょうし、直販志向を強めるホールセラーもあるかもしれません。

 また、アバンティリゾートクラブは価格比較サイトでの集客も積極的にしていたようで、当然ながらそこでの過酷な価格競争が結果的に自らの首を締めた側面もあるはずですから、そうであるならば価格比較サイトが今のままである限り、同じような末路をたどる旅行会社があっても何ら不思議ではありません。もう少し、別の要素で張り合える場はありえないかと強く考えてしまいます。(松本)

▽日刊トラベルビジョン、記事アクセスランキング
(2017年10月06日0時~10月13日16時)
第1位
ユナイテッド、グアム線大量欠航へ、新千歳は1月に運休(17/10/06)

第2位
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第3位
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第4位
現地レポート:JAL就航を機に知るメルボルンの魅力、近郊も(17/10/11)

第5位
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第6位
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第7位
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第8位
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第9位
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第10位
宿泊予約売買のCansell、自社買取で取扱拡大、航空券にも関心(17/10/12)

※除外した記事(本来は10位以内にランクイン)
人事、日本旅行-10月16日付(17/10/11)