観光庁、基本計画の改定でパブコメ、3月下旬策定へ

  • 2017年2月19日

 観光庁は2月17日、2017年度から開始する新たな「観光立国推進基本計画」の改定案についてパブリックコメントを開始した。06年に定められた観光立国推進基本法に基づき、適宜改定することが決められているもので、観光庁は今月8日の交通政策審議会観光分科会の会合で改正案を提示し、議論をおこなったところ。今後は2月28日まで意見を募集した後、3月下旬に開催予定の次回会合で取りまとめをおこない、閣議決定を経て国会へ報告される見通しだ。

 改正案では、昨年に政府が定めた「明日の日本を支える観光ビジョン」を踏まえて、「国民経済の発展」「国際相互理解の増進」「国民生活の安定向上」「災害、事故等のリスクに対する備え」を基本的な方針として定め、計画期間は4年後の20年度までとした。目標数値は、すでに「観光ビジョン」で目標が定められているものについては、同様に変更。20年度の国内旅行消費額は21兆円、訪日外国人旅行者数は4000万人、訪日旅行消費額は8兆円、訪日リピーター数は2400万人、訪日客の地方部における延べ宿泊者数は7000万人泊とする。

 「観光ビジョン」で定められていない目標については、現行の基本計画の目標を継続または見直す。三大首都圏以外の地方部における国内旅行については、現行の目標である消費額12兆円に加えて、日本人延べ宿泊者数3億1000万人泊を新たな目標として追加する。雇用効果については、現行の「539万人分相当」から25万人増の「564万人分相当」に変更する。

 訪日旅行者の満足度については「現在は『大変満足』を45%程度、『必ず再訪したい』を60%程度」としているところを、「『必ず再訪したい』『再訪したい』の合計を、15年実績の93.3%と同程度の水準を維持する」に変更。旅行者数が今後も増加を続けても、満足度の維持に努めるとした。アジア主要国での国際会議の開催件数における国内開催の占める割合については「アジア最大の開催国(3割以上)」をめざし、MICE目的の訪日旅行者数は現行の170万人から650万人に引き上げる。

 そのほか、日本人の年間海外旅行者数については、引き続き2000万人を目標とした上で、若年層については現行の300万人から50万人増の350万人に引き上げることをめざす。

 新たな施策では、「国際競争力の高い魅力ある観光地域の形成」について、世界水準のDMOの形成や旅行業法の改正、民泊サービスへの対応などを盛り込んだ。「観光産業の国際競争力の強化及び観光の振興に寄与する人材の育成」では経営人材の育成など、「国際観光の振興」については通訳ガイドの充実やランドオペレーター登録制度の整備などに取り組む。「観光旅行の促進のための環境の整備」では、訪日旅行者などの災害被害の軽減のため情報発信を強化するとした。