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公取、公的再生支援でガイドライン-ANAHDが歓迎コメント

  • 2016年4月3日

 内閣府の外局である公正取引委員会(公取)は3月31日、新たに取りまとめたガイドライン「公的再生支援に関する競争政策上の考え方」を公表した。同ガイドラインは、内閣府「競争政策と公的再生支援の在り方に関する研究会」が2014年12月に取りまとめた中間整理において要望していたもので、支援機関が企業の公的再生支援をおこなうにあたっては、競争への影響が最小化されるよう支援を最小化するよう明記。ANAホールディングス(ANAHD)は同日中に、歓迎するコメントを発している。

 公取が公的再生支援の市場への影響についてガイドラインをまとめたのは今回が初めて。新たなガイドラインでは冒頭で「公的再生支援は市場競争の結果、本来は市場から退出するはずだった事業者を再生させるもので、市場メカニズムに介入して競争に影響を与える」と説明。その上で、影響を最小化するためには、民間での事業再生が不可能で、公的再生機関が支援をおこなわざるを得ない場合に限り、必要最小限の規模でおこなうべきとした。

 また、公的再生支援はできるだけ短い期間で1回限り実施し、原則として延長をおこなわず、金融支援をおこなう場合には使途を事業再生に必要な範囲に限るよう定めた。また、公的支援により被支援企業が著しく優位になるなど、競争に大きな影響が残る場合には、新たな設備や事業への投資を一定期間制限する「行動措置」や、設備の売却や事業譲渡により市場での力をあらかじめ減少させる「構造措置」の検討が必要とした。

 ANAホールディングスはガイドラインの発出にあわせて、同日中に歓迎する声明を発表。10年に日本航空が経営破綻し、公的支援により再生を果たした経緯について言及した上で、「新たに示された考え方は、当社の以前からの主張にほぼ即したものとなっている」とと述べた。「行動措置」や「構造措置」の検討が必要性が示された点については、「強く賛同する」とした。