日本航空、16年度は中計完遂へ、営利減も純利は1割増

  • 2016年2月18日

▽16年度は新仕様機材を拡充、顧客満足度1位めざす

 16年度は、JLとしての規模拡大のみを追うのではなく、「自立」「挑戦」「スピード」をキーワードに、中期経営計画の目標の達成と他社との差別化に取り組む方針。路線ネットワークでは、国際線でボーイングB787型機に加え、B777-200ER型機にも「JAL SKY SUITE」を導入する。また、ワンワールド加盟航空会社を中心に提携を広げ、各社のネットワークを活用し、顧客の利便性の向上をはかる。国内線では「JAL SKY NEXT」について、JLが対象機材と位置づける全77機への導入を年度中に完了し、顧客満足度のさらなる向上をめざす。

 商品やサービスについては、国際・国内線で新仕様の機材を増やすほか、インターネット接続サービスなど機内でのサービスの充実をはかる。また、人材育成の強化にも引き続き取り組むことにより、中期経営計画で掲げる「16年までの顧客満足度ナンバーワンの達成」をめざす。

 JLによれば、14年8月から15年7月までを対象にしたJCSI(日本版顧客満足指数)の調査で、国際線の再利用意向率は3年連続で首位だったが、他者推奨意向率は1位から2位に順位を下げた。国内線の再利用意向率も前年の3位から5位に順位を落としており、他社推奨意向率は前年と同様に3位だった。乘田氏は「特に国内線の改善が課題」とし、「JAL SKY NEXT」仕様機材の地方路線への投入を加速するとともに、地方路線におけるサービスを向上させ、満足度を高めたい旨を述べた。

 機材計画については、16年度はB787型機を7機受領する予定で、16年末時点のB787機の数は計33機となる見込み。グループ会社でも新機材を導入することから、年末時点のJALグループの総保有機数は国際線85機、国内線145機の計230機に増加する。16年度の航空機に対する投資額は2.1%増の1910億円を見込む。

 旅客販売については顧客の「個人化」「ウェブ化」を重点課題とし、ソーシャルメディアやモバイル機器の活用を促進するとともに、ダイナミックパッケージ商品の拡充をはかる。また、海外地区では共同事業をおこなう航空会社との協業を継続し、人員増による販売体制の強化をはかる。さらに、訪日外国人旅行者向けの国内線運賃「Japan Explorer Pass」の販売促進に取り組む。

 このほか、安全対策については15年度に3件の重大インシデントが発生したことを踏まえ、原因究明と再発防止に全社一丸となって取り組むとともに、安全を守るための人材育成とシステムの強化などを引き続きおこなう。また、中期経営計画期間を超えた取り組みとしては、2020年の東京オリンピック・パラリンピック大会へのサポートをおこなう。さらに、旅客事業に関する基幹システムを17年度を目途に全面刷新する予定だ。