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観光庁、15年度補正予算は56億円、地方や旅館など支援

  • 2015年12月20日

 政府は12月18日、2015年度補正予算案を閣議決定した。国土交通省の予算は4736億円で、このうち観光関連は56億円。内訳は、欧米人旅行者の取り込みや桜のシーズンの訴求に向けた「地方誘客のための緊急訪日プロモーション」が41億8000万円、旅館などの活用のための「訪日外国人旅行者受入環境整備緊急対策事業」が10億2000万円、環太平洋戦略的経済連携協定 (TPP)対策から農業振興など意識した「地方創生のための観光地域づくり」が4億円となった。

 「地方誘客のための緊急訪日プロモーション」では、訪日外国人の受け入れに余力のある地方への誘客をはかるため、歴史や文化への関心度が高い欧米や豪州などの市場に向け、伝統文化体験などのアピールを強化。海外での旅行博覧会への出展や、メディアの招聘、Facebookなどによる情報発信などを切れ目なく実施する。一方、2月から3月にかけては東アジアや東南アジアなどの市場で、日本各地の桜の名所を訴求し、リピーターの地方への誘客をはかる。そのほか地方へのLCCの新規就航や増便に向け、航空会社との共同による広告展開、日本政府観光局(JNTO)による就航先情報の発信などもおこなう。

 「訪日外国人旅行者受入環境整備緊急対策事業」では宿泊施設不足の解消に向け、10億2000万円のうち10億円を、旅館など既存宿泊施設の訪日外国人対応支援にあてる。具体的には全国100地域の1000施設程度を目安に、WiFi環境やテレビの国際放送設備の整備、客室トイレの洋式化、自社サイトの多言語化などについて、費用の半分を援助。観光案内所や関係団体の予約サイトなどでの空室情報提供も強化する。そのほか、貸切バスによる路上の混雑の緩和や、ターミナル駅などでの乗り換えの不便さの解消に向けた実証実験も開始する。

 「地方創生のための観光地域づくり」では、4億円のうち3億円を「食」と「農」をテーマとした観光地域づくりに充て、15年度から開始した「広域観光周遊ルート形成促進事業」における訴求力のあるルート形成を支援。各地域の食文化や農業体験、農山漁村の景観など軸に、受入環境の整備、交通アクセスの円滑化、滞在コンテンツの充実、海外に向けた情報発信などを進める。残りの1億円は東日本大震災復興特別会計から移し変えたもので、東北への訪日外国人旅行者の送客に充当。復興庁と連携して風評被害対策のための市場調査、人材育成、地域における計画策定の支援に取り組む。