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政府、観光立国アクション・プログラム改定、訪日消費倍増へ

  • 2015年6月8日

 政府は6月5日に「観光立国推進閣僚会議」を開催し「観光立国実現に向けたアクション・プログラム2015」を策定した。今回のアクション・プログラムでは、2020年を期限としてきた年間訪日外国人旅行者数2000万人の達成を、早期に実現する考えを示したほか、今後は観光によって「稼ぐことを明確に意識して推進する」と明示。訪日外客の消費額を2014年の約2兆円から、2000万人達成の年には年間4兆円に倍増させるとした。そのための施策としては、地方の免税店を現在の約6600店から2万店にまで増やすことを挙げ、観光による地方創生により全国で40万人の新規雇用創出をめざす方針も示した。

 今回のアクション・プログラムでは「インバウンド新時代に向けた戦略的取組」「先手を打っての『攻め』の受入環境整備」など、6つのテーマごとに具体的な新規施策と継続施策を列挙。「インバウンド新時代に向けた戦略的取組」では、従来からの日本政府観光局(JNTO)などによるプロモーション活動を強化するとともに、日中韓3ヶ国の「ビジット・イースト・アジア・キャンペーン」により、欧米からの観光客の取り込みを促進する。具体的には、域内共通の空港パスや鉄道パスについて実現化に向けた検討を進める。

 また、JNTOと民間の連携により、訪日外客向けに地方の観光情報を提供し、あわせて乗車券やイベントチケットの販売などをおこなうワンストップ窓口を創設する。ビザ取得要件の緩和については、今年の6月中旬までにブラジル人向けの数次ビザ発給を開始。モンゴル人向けの数次ビザも、発給を早期に実現するとした。海外からの教育旅行については、2013年度の約4万人を2020年までに5割増に拡大することを目標に掲げた。

 「観光旅行消費の一層の拡大、幅広い産業の観光関連産業としての取り込み、観光産業の強化」では、商店街や物産センターなどで免税手続を一括しておこなう「免税手続カウンター」の導入により、現在は約6600店にとどまる地方の免税店数を、17年には1万2000店、20年には2万店に拡大する方針を示した。あわせて、地方での「免税商店街」の増加に向け、キャッシュレス決済に必要な端末システムやWiFi機器の導入に対する支援を拡充とした。

 そのほか、日本の閑散期にあたる2月を中国系観光客向けの「春節セール」期と設定し、海外で日本のショッピングツーリズムを宣伝。また、15年度中には羽田と成田の両空港で、複数の市中の保税売店が共同利用できる引渡カウンターを開設し、その他の空港にも拡大をはかる。地域限定旅行業については必要となる要件を見直し、事業参入を促進して着地型旅行商品の造成・販売ルートの多角化をはかるとした。

 「地方創生に資する観光地域づくり、国内観光の振興」では、「観光まちづくり」を推進する観点から、自治体向けのガイドラインを作成して周知するとともに、相談窓口を国土交通省内に設置する。多様な通訳ガイドのニーズへの対応については、自治体が独自に育成する「地域ガイド制度」を導入。また、中小企業地域資源活用促進法を改正し、新たに農業体験や産業観光などを支援対象に加える。東北への支援については、観光庁が中心となって6月に「東北『観光復興』加速化会議」を開催し、被災地への送客を強化する。

 そのほか、国内移動のさらなる活性化に向け、行政と民間による「LCC等・高速バス活性化協議会」(仮称)を設置。クルーズについても「船旅活性化協議会」(仮称)を立ち上げ、外国人旅行者だけでなく日本人にもクルーズが身近になるよう取り組みを進める。

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