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アクセスランキング、HISが3本-国内外の宿泊料金調査も

[総評] 今週は、エイチ・アイ・エス(HIS)の取り組みに関する記事が3本ランクインしています。1位は同社がハワイ送客へさらに注力するというもので、その具体策として新宿に専門店も開設しており、下掲のランキングでは便宜上1位にまとめていますが、4位には同店舗について別立てで書いたものが入りました。そして大阪に訪日旅行者専門拠点を設ける記事も9位となっており、アウト/イン両面の積極展開がよく現れたランキングといえそうです。

 HISのハワイといえば、バリ島に続いて送客ナンバーワンの座をねらいこの数年は特に他社との競争が激化していると色々な場面で聞こえてきていますが、今回の施策もこの一環でしょう。

 それにしても、全社で約3割の増加をめざすという「ハワイに本気年」の目標は物凄いものと感じます。もともとの数が少ないのであれば難しい数字ではありませんがそんなはずはありませんし、いくら「風が吹いている」(HIS平林朗社長)といっても、発破をかけられる現場は大変だろうと勝手に想像してしまいます。

 とはいえ、それがHISの強みとも感じます。先日、澤田秀雄会長のお話を聞く機会がありましたが、「どうせやるなら」というお言葉が何度も出たのが印象的で、その後に続くのは「日本一、世界一をめざす」というものでした。

 旅行会社をどうせやるならまず日本一に、そのためには各方面で他を上回る送客を、そのためには…、という考え方だとすれば、まさに「できるかできないかではなく、どうやるか」の体現です。

 こうした澤田イズムは、例えば目標設定でも「どうせやるなら」小さくまとまらずに周囲を圧倒する大幅増、といった形でHISグループに浸透しているのではないかと思われます。

 さて、今週はこのほか3位にHotels.comによる世界の宿泊料金調査の記事がランクインしました。これによると、2014年に日本の主要都市の宿泊料金はほぼ10%以上の伸びを示しています。これは当然、訪日旅行需要の増加や円安によるものでしょう。

 実際に、肌感覚としても宿泊料金が値上がりしていることは如実に感じられます。少し前に海外OTAで国内出張のホテルを予約しようとした時には、そのホテルのウェブサイトではラックレートが1万円程度で案内されていたのに対し、OTAサイト上では約2万5000円の値が付いており唖然としてしまいました。

 9位のHISによる専門拠点といい、急速に拡大する訪日需要は国内の観光業界を席巻しそうな勢いです。宿泊料金の値上がりは、サービスの輸出として考えれば望ましいことですが、このまま行くと国内旅行の需要を抑えこんでしまうのではないかとすら感じます。

 海外旅行では、ホテルが日本人よりも金払いのいい他国の旅行者に目を向ける、という危惧がありますが、国内でも同じことが起きるというのはあり得ないことでしょうか。

 もちろん、いくら高く売れるからといって特定の市場に集中すれば何かしらの事情でその市場が減速した時にいっぺんに危機を迎えますから、普通の経営者であればリスクヘッジとして国内の需要も取り込むでしょう。また、そもそも極端な考え方ですので、日本全土でそういった事態となることはないでしょう。

 しかし、人気の高い宿泊施設はほとんど日本人が利用できない、そんな状況を想像すると単純に訪日需要の好調さを喜べない気持ちになります。その意味でも、訪日旅行者のゴールデンルート以外への誘導やショルダーシーズンの需要喚起は有意義といえそうです。(松本)

▽日刊トラベルビジョン、記事アクセスランキング
(2015年3月第4週:3月21日0時~3月27日18時)
第1位
HIS、“ハワイに本気年”で送客強化-平林社長「夏に海旅回復」(15/03/22)
HIS、新宿にHTJサテライトのハワイ専門店、1750品の本格物販店も(15/03/22)

第2位
襲撃事件で大手各社がチュニジア行き中止-MSCは寄港地変更(15/03/21)

第3位
14年の世界の宿泊料金は3%増-日本主要都市は2桁増に、Hotels.com(15/03/24)

第4位
ホテル日航東京が「ヒルトン東京お台場」に、10月から(15/03/25)

第5位
15年GW、1位は台湾、韓国も回復傾向に-国内は東京、北陸が5位に(15/03/26)

第6位
タイガーエア台湾、運送事業経営許可を取得、4月2日に成田線就航(15/03/25)

第7位
成田、開業直前の3タミ公開、機能性や快適さアピール(15/03/25)

第8位
15年GWのインターネット予約、人気1位はバンコク-i.JTB(15/03/24)

第9位
HIS、大阪に訪日客専門フロア、他業種と協力-月1万人の訪問めざす(15/03/24)

第10位
主要50社、1月の海外旅行は3.9%減、ツアー単価は増加(15/03/23)