ニュージーランド、日本人年間9.5万人へ-アクティブシニア・若者に焦点

  • 2015年3月24日

ニュージーランド政府観光局日本・韓国地区局長のニック・マッジ氏  ニュージーランド政府観光局(TNZ)日本・韓国地区局長のニック・マッジ氏は、このほど弊誌のインタビューに答え、同局の会計年度で次年度に当たる2015年7月から2016年6月の日本人訪問者数で、9万5000人をめざす考えを語った。60歳以上のアクティブシニア層と、20歳から35歳で旅行に興味がある若者層をターゲットに設定。航空会社や旅行会社と協力し、誘客をはかる。

 マッジ氏によると、日本はオーストラリア、中国、米国、英国に次ぐ第5位の市場。2014年2月から2015年1月までの日本人訪問者数は前年比9.9%増の8万1696人で、特にニュージーランドのメインシーズンである夏の11月から1月は月平均20%増と「非常に好調に推移している」とした。2014年7月から15年6月(今年度)も8万5000人を見込んでおり「日本市場は好調で(目標達成は)楽観的に見ている」という。

 好調の理由はニュージーランドの人気の高まりや、航空座席数の増加、旅行会社との強固なパートナーシップなどをあげた。また、ニュージーランドがロケ地の映画「ロード・オブ・ザ・リング」「ホビット」効果についても言及。ロード・オブ・ザ・リングは最終章が2003年に公開されたが「以降10年以上、ニュージーランドを訪れるユニークな理由の1つであり続けている」といい、長期的な誘客効果があると説明し、引き続きアピールしていきたいとした。

 次年度は、60歳以上のアクティブシニア「アクティブブーマーズ」と、20歳から35歳の若者層で、海外旅行に積極的に興味を持っている「インディペンデント・プロフェッショナル」をターゲットに設定。「両セグメントとも(14年2月~15年1月で)15%の伸びを示している」(マッジ氏)ことから注力していく方針だ。

 具体的には、テレビ番組や新聞などのメディアや広告を活用し、ニュージーランドの多様性や独自性をアピールしていく。アクティブブーマーズについては自然やマウントクックやテカポ、クイーンズタウン、ロトルアなどのアイコン的存在をアピール。メディア系を含む旅行会社を活用していく。若者は「冒険」「リフレッシュ」をキーワードに、FacebookなどのSNSなどを利用しながら、同国で体験できるアウトドア・アクティビティや自然体験などを訴求していく考え。

ニュージーランド政府観光局では業界向けに2日間のセミナーを開催。ニュージーランド側のサプライヤーは15社、旅行会社などバイヤーは22社49名が参加した  さらにマッジ氏は、「夏と冬はとてもポピュラーだが、春と秋にも日本人に来てほしい」とし、特に秋について誘客を強化したい方針を語った。航空会社や旅行会社に協力を求めていくといい、既に1月にニュージーランド航空(NZ)と、4月から10月の渡航を対象とした早期特別割引運賃キャンペーンを実施。引き続き同種のキャンペーンを展開したいと話した。

 また、マッジ氏はNZが日本市場の規模を2倍にする「ダブルジャパン戦略」を展開していることに触れ、今後の更なる座席数の増加に期待を示した。さらにカンタス航空(QF)が8月に就航する羽田/シドニー線と成田/ブリスベン線についても、ニュージーランドへの接続利便性を強調。シンガポール航空(SQ)も大阪や名古屋、福岡といった地方都市からのシンガポール経由で訪問できると語り、地方からの誘客に期待を示した。

 旅行会社に対しては「強固なパートナーシップが構築できている」とし、引き続き関係強化をはかる。ウェブサイトから旅行会社への誘導やブローシャーなどでのサポートに加え、オンライントレーニングを継続。今年度はトレーニングの修了者を対象に50名限定で個人研修旅行を実施したが「非常に好評だった」とし、次年度も継続したい考えを示した。