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アクセスランキング、KNT個人の戦略1位、変化の行方に期待

[総評] 今週は、近畿日本ツーリスト個人旅行(KNT個人)による2015年の募集型企画旅行の販売方針が1位になりました。また、2位にも近畿日本ツーリスト(KNT)とKNT個人の戦略説明が入っており、旅行業界全体が「野武士」たちの動向に興味を持っていることがうかがえます。

 2位の記事で触れているように、海外旅行のみですが、両社の2014年の業績は団体が堅調であったのに対して個人が苦戦しました。個人旅行では、特に主力のホリデイの売上が前年比36%減となり、KNT個人代表取締役社長の岡本邦夫氏も「厳しい結果」と表現されています。

 状況を整理すると、KNT-CTホールディングスが発足したのが2013年1月で、当時の旧近畿日本ツーリストグループの個人旅行部門は「経営基盤に大きな影響をもたらすほどの大きな赤字」を計上していました。クラブツーリズムとの経営統合により財務基盤を強化した上で、KNT個人は岡本氏のもと構造改革に取り組んできています。

 この構造改革では、赤字支店や赤字商品をなくすことをめざすとともに、「従来の販売戦略である、主としてボリュームインセンティブをあてにした送客人数を第一に考える手法」からの脱却も目標として掲げられています。

 その方策はまず商品改革と販売手法改革で、商品については「ハード中心の企画」から「ソフトを充実した企画」に切り替えていく方針です。販売手法としては、例えば期首パンフレットを軸に物事を考えるのを止め、臨機応変に商品を設定していくことになります。

 また、こうした方策は1位の記事でも詳しくご紹介しているところですが、岡本氏は「顧客創造」も構造改革の柱の一つと位置づけています。

 岡本氏はもともとクラブツーリズムを率いられており、顧客がどのような人々で何を求めていてそれに対して何を提供するか、あるいはある商品があったとしてそれを求める顧客をどのように掴むか、そういったことを強く意識されている印象です。

 知恵を集めてソフトを充実させた良い商品ができたとして、それをどのように買っていただくか。既存の店舗網は「来店」という言葉が表すように受け身になりがちですし、かといってクラブツーリズムと同じように新聞広告や会報誌を使ったメディア系をめざすのも妙な話です。

 ウェブ販売の強化もめざされるお考えですが、あまりやり過ぎると反発もあり得るでしょう。しかし、企業としての存続を考えるのであればそれもやむを得ないことかもしれません。

 このように難儀な課題に真正面から取り組む岡本氏の姿勢は、個人的に尊敬してもし足りないと感じています。さすがに2015年は送客ボリュームを意識して商品ラインナップを揃えられるということですが、改革の手を緩めるおつもりもなさそうです。

 抜本的な変化に痛みが伴うのは当然です。KNT個人が、変化の後にどのような姿となるのか。何か、美しい蝶の羽化を待つような心持ちでいます。(松本)

 

▽日刊トラベルビジョン、記事アクセスランキング
(2015年2月第4週:2月22日0時~2月27日18時)
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