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UNWTO/UNESCOが世界会議を共催、観光と文化の連携強化-JATAがプレゼン

  • 2015年2月22日

 2月4日から6日にかけて、カンボジアのシェムリアップで、国際連合世界観光機関(UNWTO)と国際連合教育科学文化機関(UNESCO)の共催で「観光と文化に関する世界会議」が開催された。UNWTOとUNESCOは2013年、持続可能なサステイナブル・ツーリズムと自然・文化遺産の保護に関する取り組みにおいて、協定を締結し、活動をおこなってきた。共同で会議を開催するのは今回が初めてだ。

 主催国のカンボジア首相のフン・セン氏は会議の開催に際し「我々は文化観光の継続的な発展を促進するため、横断的な政策が必要である」とした上で、「この会議は観光と文化の関係を通じて、未来の持続可能な開発目標へと進むために大きな貢献」をすると意義を強調した。

 UNWTOによると、世界約100ヶ国から観光・文化担当大臣など45名を含む900名以上が会議に参加。カンボジアからはフン・セン首相やタオン・コン観光大臣などが参加し、ノロドム・シハモニ国王がアンコール・ワットでガラ・パーティーを主催した。

 会議の成果としては「シェムリアップ宣言」が発出され、文化と観光の間の新たなパートナーシップの構築、サステイナブル・ツーリズムの重要性や取り組み強化が確認された。

 2月4日には閣僚級の会合が開催され、観光と文化の連携を深めるためのガバナンスのあり方を議論。日本からは国土交通省政策統括官の道盛大志郎氏が出席し、富士山の世界文化遺産登録を事例に、政府や自治体、地方コミュニティの連携について発言した。

 また、国際会議では観光と文化の連携方策や文化振興・保護、文化観光ルート、文化観光と都市再生などに関する議論がおこなわれた。このうち日本旅行業協会(JATA)事務局長の越智良典氏が、広域観光ルートの保護と活用に関するセッションにパネリストとして参加し、プレゼンテーションを実施した。

 越智氏によると、プレゼンテーションでは、JATAの役割を「価値創造産業」とし、世界遺産の歴史的、芸術的な価値に対し、更に新しい価値を創造することを努めてきていることを紹介。10年前の近畿日本ツーリスト時代に、カンボジアで大規模なコンサートを開催し、日本から2000人以上の観光客が参加。ツアーの収益金でカンボジアに学校を寄付したという。

 また、日本独特の制度として修学旅行制度を紹介。国内修学旅行には年間で中学生が約105万人、高校生が約78万人参加するが、そのうち55%から60%が日本の世界遺産を訪問しているといい、世界遺産をテーマに文化や環境、平和などを学ぶことが、目の超えた若者を育てることにつながっていると話した。その上で教育効果を見据え、修学旅行をアジア各国に導入することを提案した。