広域観光周遊ルート検討委が初会合、地方間の協力など課題に

 観光庁は2月19日、「第1回世界に誇れる広域観光周遊ルート検討委員会」を開催した。委員は経済、旅行、運輸関係団体・会社などの代表14名。訪日旅行の強い動機づけとなる広域観光周遊ルートの形成促進と、積極的な海外への情報発信をはかるため、ルート形成のための方針やルートに関する計画を検討していく。

国土交通副大臣の西村明宏氏  冒頭で登壇した国土交通副大臣の西村明宏氏は、日本にはゴールデンルート以外にも、地方に様々な観光資源が眠っているとし「外国人の皆様に日本に何度も足を運んでいただける、その第一歩をエキスパートの皆様に作っていただきたい」と語った。

 第1回では各委員から広域観光周遊ルートの形成と認定、情報発信などに関する意見を聴取した。委員からはルートを形成する都道府県や市町村間での確実な連携が必要との声が多く挙がった。

 広域連携については、自治体同士が自分の地域のみへの誘致に注力することで壁ができており、「連携するという目標が建前に終わっている」との意見が挙がった。観光庁長官の久保成人氏も「なんとか自治体の壁を越えた広域ルートを改めて提案し、作れないか」と今後の課題を述べた。

 また、訪日外国人のニーズが市場やセグメントごとに多様化するなか、明確なターゲットの設定の必要性を指摘する声もあがった。日本観光振興協会会長の山口範雄氏は、日本らしいテーマ性を明確に打ち出すことが重要とし「どのターゲットに向けてテーマ性を打ち出すのか。年齢層、旅する層に限らず、国単位へ(のターゲティング)もあるのでは」と示唆した。

 日本旅行業協会(JATA)会長の田川博己氏は「旅行のルートは儲からなければならない。そこからまず始めてほしい」とし、海外旅行商品造成担当者にヒアリングし、50年間培ってきた商品造成のノウハウを活用することを提案。策定したルートについては、訪日旅行にかかわるオペレーターや現地旅行会社と組んでの販売を提言した。

 また、定期航空協会会長の篠辺修氏は地上交通機関との連携による周遊に加え、北海道や九州など、点と点を結ぶ周遊や、日本と周辺諸国を合わせた周遊ルートの可能性を示唆した。

 このほか、航路を意識したルートや文化プログラムを活用したルートの可能性についての意見や、医療、教育分野との協力を求める声などもあがった。

 第2回検討委員会は3月に開始。委員会の意見を踏まえ、国としてルートの要件や事業体制などを提示した「基本方針(仮称)」を策定し、来年度から公募を開始する予定だ。

 観光庁によると、公募後は応募主体に自治体や関係業者などからなる協議会を設置してもらい、マーケティングやプロモーション方針などを含む「広域観光周遊ルート形成計画(仮称)」の策定と国への提出を求める。国の認定後は、関係省庁、関係機関がルート形成を支援。事業費用の一部は国が負担する。観光庁ではマーケティング調査や海外プロモーション、環境整備、広域周遊ツアーの企画販売などをパッケージとして支援する。

 なお、広域観光周遊ルートについては、14年度補正予算で2億7000万円計上しているところ。久保氏によると、今年度は地域の実情や外国人のニーズなどの調査に活用し、15年度に向けて準備をしていくと語った。