観光庁長官、交付金活用訴え-旅行会社にインセンティブも

  • 2015年1月21日

 観光庁長官の久保成人氏は1月21日に開催した定例会見で、政府が2014年度補正予算に盛り込んだ「地域住民生活等緊急支援のための交付金」について、観光分野での活用を訴えた。交付金は地方公共団体を対象としたもので、「地域消費喚起・生活支援型」が2500億円、「地方創生先行型」が1700億円の計4200億円。

 地域消費喚起・生活支援型は、地域の観光資源などを活かした宿泊客向けの消費喚起策や生活支援策に利用できるもので、現地の宿泊などに使える「ふるさと旅行券」の発行といった活用が可能だ。地方創生先行型では地方版総合戦略の策定などが対象で、環境整備や雇用創出などで地方活性化を促す。

 久保氏は交付金について、地方創生の目玉であるとした上で「観光関連の施策が大きく位置づけられており、画期的なこと」と説明。「これを機に地方自治体や宿泊・旅行などの旅行関連業界と十分に連携し、交付金を積極的かつ有効に活用していただき、観光需要、地域経済の活性化を創り出すことに結びつけていきたい」と意欲を語った。

 久保氏は地域消費型・生活支援型の具体例として、地方発の旅行商品の利用促進を目的とした、宿泊料金やツアー代金の一部負担、飲食店や土産物店などへの誘客や消費促進のための地域限定商品券・施設利用券の配布をあげた。

 さらに、国内外からの団体ツアーの誘客や、旅行会社のツアーにおいて、送客実績に応じたインセンティブの付与にも利用できると説明。特にインセンティブについては「旅行会社側も頑張ろうという意欲が湧くのでは」と期待を示した。

 一方、地方創生先行型については、旅行会社などと連携した国内外の観光プロモーション活動支援や、地域の観光人材の確保・育成、MICEの開催促進、WiFi環境整備などに活用できると紹介した。

 同氏によると、現在事例集を用意し、地方公共団体に加え、旅行、宿泊業の関係団体に精力的に説明を実施しているところ。すでに20の地方公共団体で具体的な検討がおこなわれているという。