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アクセスランキング、1位は羽田米国線、織田信成さんクルーズも

[総評] 改めまして、明けましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

 さて、2015年最初のアクセスランキングでは、羽田/米国間路線の発着枠を巡る米国側の動きの続報が1位となりました。これは、デルタ航空(DL)が今冬ダイヤでほぼ使用していないシアトル線の発着枠が焦点となっているもので、前々回の当欄では米国運輸省(DOT)が再配分すべきかの検討を開始するという記事が1位でした。

 これに対して今回1位になった記事は、このDOTの決定に対して、アメリカン航空(AA)とハワイアン航空(HA)が自社の運航計画を申請し、DLはシアトル線に発着枠を留めおくべきとするDLの主張を支えるエビデンスを提出したという内容です。

 1本の記事にまとめていますが、実は年末年始にかけて、DLがDOTの検討開始自体を取りやめるよう申し入れてAAとHAがそれに対して反論し、その後の1月5日にAAとHAが運航計画の申請、DLがエビデンスの提出をしており、それぞれの資料の情報量からするとかなり省略して書いています。

 検討自体の再考要請と反論だけでも相当なボリュームで、本当はこちらもきちんとお伝えしたかったのですが、今後の展開を考えれば具体的な運航計画の方が重要と判断し、そちらに比重を置いたことをご理解いただければ幸いです(すべてのやり取りにご興味がある方はこちらをご参照ください)。

 最終的にどのような決断が下されるかは、3社とも独自の視点に基づいて練り上げた根拠を示していますし、まったく先が読めません。例えばDLの「シアトル線が配分された時に公益性が高いと評価されたポイントは何も変わっていない」という主張は理にかなっていますし、一方でAAとHAによる「使わないのはもったいない」、「そもそもデトロイトもシアトルも申請した通りに飛ばせていないじゃないか」という指摘も的外れとは思えません。

 DLは、シアトル空港をハブ化するため投資を続け来年の冬ダイヤ以降は通年運航が可能になるとも主張していますので、かなり大雑把に整理すると、DLの今冬ダイヤの運休は来年以降を見据えても公益性を損なうものかどうか、が一つ目の分岐点になるように感じます。再配分に傾いた場合も、AAのロサンゼルス線、HAのコナ線とも当然ながら一長一短で、決定する立場であったら早々に匙を投げたくなりそうです。

 個人的に気になるのは、DLが「過去の約束の反故」についての批判をどうかわし、来冬ダイヤからの通年運航に信頼を得るか、またニューヨーク線から撤退して一度は羽田から手を引いておきながら猛烈に必要性を訴え始めたAAの意図です。

 また、記事でも触れましたが、AAは羽田が認められれば成田/ロサンゼルス線から撤退するのではないかという疑念に対して、私の読み落としでなければ何の回答もしておらず、前例があるだけに不安が残ります。HAについては、経済効果は大きいものの米国市民にとっての利便性はさして向上しないという弱点をどう克服するかが見ものです。

 さらに、AAが指摘していますが、昼間時間帯発着枠の行方も無関係ではありませんから、話はより複雑になります。加えて「公益性」は定性定量いずれの尺度も持っているはずで、単純な比較検討のみで決定できるとも思えません。HAは就航日の一つの目安として6月1日を挙げており、そうすると4月半ばには判断が下るという逆算が可能ですが、果たしてどのような検討がなされるか、そして決断はいつかに注目が集まります。

 このほか今週は4位に、ロイヤル・カリビアン・インターナショナル(RCI)の記事がランクインしています。ゴールデンウィークの日本発着クルーズで織田信成さんに乗船してもらいイベントを開催するというもので、旅行業界外の方々が多く読んでくださったようです。

 フィギュアスケート関連では、昨年12月も高橋大輔さんが出演するスケートショーのツアーを設定した近畿日本ツーリスト(KNT)の記事(リンク)がアクセスを集めており、その人気の高さを実感します。

 こうした記事が耳目を集めることについて考えていると、すでに存在する希少な価値に旅行を組み合わせる、という図式に思い至ります。ショパンコンクールの観賞ツアーの記事(リンク)も今週掲載している通り、従来から当たり前におこなわれていることではあるでしょうけれども、この「希少な価値」をさらに突き詰める、あるいは考察する角度を変えると何か新しいものが見えてくるのではないか、そんなことを感じました。(松本)

▽日刊トラベルビジョン、記事アクセスランキング
(2015年1月第2週:1月5日0時~1月9日18時)
第1位
羽田米国線、AAとHAが就航申請、DLはシアトル線維持へ論拠(15/01/07)

第2位
年頭所感(1)15年は訪日に期待、ツーウェイツーリズム拡大も(15/01/08)
年頭所感(2)顧客目線を重視、さらなる満足度向上へ(15/01/08)

第3位
LCC3社の年末年始、MMの国際線利用率が9割超え-新興CRR、4社が利用率増(15/01/07)

第4位
RCI、ボイジャーに織田信成さん乗船、スケート関連イベント開催(15/01/07)

第5位
JAL・ANA、年末年始国際線旅客は9.7%増、利用率は83.3%(15/01/06)

第6位
チャイナエアライン、新千歳/高雄線を開設、2月1日から週5便で(15/01/05)

第7位
JATA田川会長、交流人口4000万人へ、多方面の取り組みに意欲(15/01/08)

第8位
日本航空、CoCo壱番屋と中部/バンコク線就航記念キャンペーン(15/01/08)

第9位
ミュゼトラベル、組織体制変更で営業強化-4月に新ブランドも(15/01/08)

第10位
4月から免税一括カウンターの設置可能に-埠頭への臨時出店も容易に(15/01/05)