itt TOKYO2024
itt TOKYO2024

アクセスランキング、1位は阪急新社長、エアアジア再攻勢も

[総評] 今週は、阪急交通社の代表取締役社長に4月1日付けで就任した松田誠司氏のインタビュー抜粋が1位になりました。もともと海外旅行を強みとする阪急交通社は2013年、中国と韓国への需要激減のあおりを受けて苦戦を強いられていますが、打開策について話される松田氏のお考えは、今までお会いした旅行会社経営者の中で最も現実主義的に感じました。

 厳しい状況で社長職を任されるということは立て直しを求められているわけで、自分であれば「とにかく何とかしなければならない」ことを大前提に演繹的に考え、ましてやそのような中での就任直後のインタビューとなると、肩に力が入って威勢のいいこと、明るいことを言ってしまいそうな気がします。しかし、松田氏はあくまで淡々と、厳しいものは厳しい、難しいものは難しいと話を続けられ、いわば「静」の姿勢が印象的でした。

 また、印象的といえば、目標設定も都道府県ごとに人口比での取扱人数シェアを求められており、これも今まで他で聞いたことはありませんでした。とはいえ、この数値が低ければ「必要とされておらず、あってもなくても変わらない」というご説明は誠に腑に落ちるもので、改めて経営の道筋はたくさんあるものだと感じています。インタビューの詳細は後日掲載いたしますので、是非またご覧いただければ幸いです。

 さて、今週はエアアジア(AK)グループが注目を集めた1週間でもありました。3位は楽天などと組んで「エアアジア・ジャパン」を再び設立し、国内線と国際線の運航をめざそうとするもので、9位はタイ・エアアジアX(XJ)が9月から成田/バンコク線の運航を開始する記事です。

 全日空(NH)との合弁会社は極めて短期間で終了し、現在はバニラエア(JW)として再出発していますから、国内でLCCを自称する航空会社は5社になります。現状を見ているとそんなに必要かと感じてしまいますが、総座席数に占めるLCCの割合は、日本では現在のところ数%程度であるのに対して欧米では3割超ということで、ポテンシャルはあるのでしょう。

 ただ、やはり一つ疑問なのは日本では「飛行機に乗りたくても乗ることができなかった層」が諸外国ほど多いとは思えない中で、どのように新規需要が開拓できるのか、そこまで爆発的な需要の拡大が望めるのかという点です。もちろん国際線であればインバウンドの伸びに期待できますが、国内線はそこまででもないはずです。

 国際線にしても、もう何社のLCCが乗り入れているのかもよく分からないような状況で、さらにジェットスター香港や台湾のVエアーなど就航の意思を表明している会社もまだあります。既存路線に加えてこれらの航空会社の座席もきちんと埋まるのであれば訪日2000万人もあっという間に到達しそうですが、宿泊施設などのキャパシティがそれを許すかという課題も残ります。

 ただ、AKのトニー・フェルナンデス氏と楽天の三木谷浩史氏という、明確な実績を残してきた起業家2名がそこに可能性を見出しているのも事実です。特にフェルナンデス氏は、うまくいけばエアアジア・ジャパンが「グループ内で最大の航空会社になる可能性がある」と話されており、それだけ大きなポテンシャルが見えていることになります。

 旅行業界で当面の節目として認識されているのは2020年ですが、その時点で日本の空がどのようになっているのか、その時に流通のあり方はどのように変化しているのか、強い興味を感じます。まずは週明けの7月7日にはXJの記者会見が予定されておりますので、新しい情報をお伝えできるのを楽しみにしています。(松本)

▽日刊トラベルビジョン、記事アクセスランキング
(2014年7月第1週:6月29日0時~7月4日18時)
第1位
阪急交通社、まずは人数重視、拠点も継続展開-松田新社長(14/06/29)

第2位
夏休みの海外旅行、9月が好調-台湾、アメリカ・カナダが人気(14/06/30)
夏休みの国内旅行は好調-富岡製糸場で群馬人気、体験型素材も(14/06/30)

第3位
エアアジア、国内線再参入へ、15年夏ダイヤから-楽天も出資(14/07/01)

第4位
ベトナム航空、羽田/ハノイ線就航-羽田発初便は121名(14/07/01)

第5位
タイ国際航空、成田/バンコク線など減便、機材変更も(14/07/02)

第6位
JATA田川会長、業界の地位向上に注力、「生き残り策」明示へ(14/07/02)

第7位
チャイナエアライン、成田、関空/台北線増便-ニックネーム募集も(14/06/29)

第8位
愛媛県の「嵯峨野」破産開始決定、レストランや温泉施設を経営(14/06/29)

第9位
タイ・エアアジアX、9月に成田、関空/ドンムアン線就航-運送事業経営許可で(14/06/30)

第10位
エア・カナダ、羽田/トロント線就航-羽田発初便は搭乗率9割(14/07/02)