旅行業・観光業DX・IT化支援サービス

アクセスランキング、1位はルフトの新Cクラス-JATA新体制も

[総評] 今週の1位は、ルフトハンザ・ドイツ航空(LH)の新ビジネスクラスについてお伝えした記事でした。シートの快適性やデザインは、特に上級クラスにおいて非常に大きな差別化のポイントで、各社とも莫大な予算を投じて開発にしのぎを削っています。

 個人的に面白いと感じているのは、それだけ各社が心血を注いでもシートの形状や機能などが収斂していかないことです。もちろんフルフラットなど必ず共通する項目はあるものの、例えば座席配列でも、並び席を前後にずらす「スタッガード」がある一方で、今回のLHのようにきちんと並んでいるものもあります。

 もちろん、この例でもそれぞれメリット、デメリットがあり、スタッガードであればどの席からも通路にアクセスしやすい一方で、夫婦やカップル、家族など、横に並んで座りたいという希望は叶えられません。推測ですが、1名での移動の多いビジネス需要と、複数名が多いレジャー需要のどちらを多く見込むかといった判断にもよるのでしょう。また、そもそも「快適」の捉え方によって設計思想も変わってくるはずです。

 翻って、旅行業界は商品やサービスのコモディティ化が課題となっています。航空会社やホテルのような装置産業ではありませんので仕方のないことではありますが、このように複雑な検討をおこない、金も時間もかけて改善、差別化に努めているかというと疑問符が付きます。

 6月18日の定時総会で日本旅行業協会(JATA)副会長となった菊間潤吾氏は、以前のインタビューで「商品造成に対して、旅行業界ほど投資していない産業はない」「(旅行会社は)製造者として、極めて安易なものづくりをしている」とのお考えを話されていました。

 もちろん、お金をかければ良いものができるかというと話は別で、さらにそれに見合った収益を確保して回収するのが困難であることも間違いないでしょう。とはいえ、付加価値を創出していかないことにはほとんどジリ貧であることは変わりありません。やはり、ありとあらゆる要素を様々な視点から検証しなおし、打つべき手を模索する必要があります。

 個人的には、倫理など諸々の制約はひとまず忘れ、例えば「イケメン」や「美人」など食いつきの良い言葉にチャンスはないかであるとか、年間1名限定で車をプレゼントしてみるとか、タブーなしでゼロベースで考えるのが一番ではないかと思います。

 それこそJATAや全国旅行業協会(ANTA)が会員会社の社員限定で、無記名の意見募集をしてみればユニークなアイディアも少なからず集まるでしょう。いわば業界全体でのブレストです。業界団体として実施するには障壁があるのであれば、トラベルビジョンとして実施してみようかと考え始めているところです。

 なお、JATAといえば4位に記事が入っていますが、菊間氏と交代でジェイティービー(JTB)代表取締役会長の田川博己氏がJATA会長に就任されました。相当のお気持ちを持って会長職に就かれたと聞いており、田川氏ならではの存在感や推進力の発揮が期待されるとともに、どのようにJATAを運営し、旅行業界を動かそうとされるかに注目が集まります。

 具体的な戦略などは7月2日予定の就任会見を待たなければなりませんが、まずは業界最大手の企業の代表取締役会長と、中小企業を含めた業界全体の発展に向けた舵取り役という2つのお立場をどのように両立されるのかを是非お聞きしてみたいと考えています。(松本)

▽日刊トラベルビジョン、記事アクセスランキング
(2014年6月第3週:6月14日0時~6月20日19時)
第1位
ルフトハンザ、新ビジネスクラス公開、冬以降に日本全線へ(14/06/16)

第2位
訪日ビザ、インドネシア免除-フィリピン、ベトナム、インド緩和も(14/06/17)

第3位
アシアナ航空、成田にA380初飛来、認知向上で以遠需要喚起へ(14/06/15)

第4位
JATA、新会長にJTB田川氏、海外・国内・訪日を「三位一体」強化(14/06/18)

第5位
HIS、大阪駅前にハワイ専門店-独自プランの販売も(14/06/15)

第6位
LCC3社、SNSや比較サイトの活用などで意見交換-WIT Japan(14/06/17)

第7位
訪日2000万人でアクション・プログラム改定-ビザ緩和、免税店増加も(14/06/17)

第8位
東京の第2種、コスモが破産開始決定、シニアの国内旅行中心(14/06/16)

第9位
カタール航空、羽田発初便はほぼ満席、今夏は搭乗率80%想定(14/06/19)

第10位
東京モノレール、新型車両の試乗会に300名招待、7月開催(14/06/17)