旅行業・観光業DX・IT化支援サービス
itt TOKYO2024

アクセスランキング、1位はJTB決算、ANAのJAL超えも

[総評] 今週は、ジェイティービー(JTB)の決算が1位になりました。海外旅行、国内旅行ともに売上高は伸びたものの売上原価の上昇率の方が高く、特に海外旅行では売上総利益が3.0%減ながら前年を下回っています。営業利益も2桁減ということで、2年連続の増収増益、3年連続の増益は実現できませんでした。

 とはいえ、JTB代表取締役社長の田川博己氏は、2013年度が中期経営計画の初年度であり、構造改革やグローバル事業の本格展開に向けた基盤づくりに取り組んだため、販管費の増加は致し方なしとのご判断を説明されています。2014年度の通期予想は増収増益で、2020年の目標である取扱額2兆円に向けた取り組みを続けていかれるお考えです。

 需要動向についても、2014年度の「出だしは控えめ」であるものの「環境自体は悪くない」と分析されており、今後の復調に期待できるとのことです。また、国内でのDMC戦略の強化、グローバル事業の積極展開の方針も示されており、今月末に田川氏から社長職を引き継ぐ高橋広行氏がどのように実際の舵取りをされていくかに注目が集まります。

 また、今週3位には、日本航空(JL)と全日空(NH)の4月の輸送実績についてお伝えした記事が入っています。NHの国際線の座席供給量がJLを初めて上回ったもので、羽田発着枠の傾斜配分のインパクトがいかに大きかったかを感じさせられます。

 ただ、今回NHがJLを超えたのは規模のみで、旅客数ではJLが依然として上回っています。下図は記事の中でも掲載していますが、過去3年間、4月は2社ともに、そして座席供給量、旅客数ともに谷ができており、需給適合で座席数を調整していることが見て取れます。

 これに対して今年のNHの座席供給量は強烈に伸びた一方、旅客数は座席の増加に牽引されてか例年ほどの減少には至らなかったものの、前月を下回っています。これは当然ですが座席利用率の悪化につながり、ロードファクターは1.1ポイント減の65.4%とJLに5ポイント以上の差を付けられました。

 まずは5月以降の数値がどうなるかが気になるところで、例年どおりであればJLも8月に向けて上昇カーブを描くはずですが、その角度がゆるやかになるのか、そしてNHが旅客数でもJLを超えていくのか、大いに注目が集まります。

 加えて、この図からは得られない情報として、売上と費用のバランスも気になります。利用率を上げるために安価な運賃を設定してしまえばイールドは下がりますし、かといって空席ばかりでは話になりません。ANAホールディングス代表取締役社長の伊東信一郎氏が「異次元」と表現されるJLの利益率に対して、どのような数字をどのように作っていくのかも重要なポイントです。(松本)

▽日刊トラベルビジョン、記事アクセスランキング
(2014年6月第1週:6月1日0時~6月6日18時)
第1位
JTB、13年度は売上5.6%増も減益、原価増や積極投資で(14/06/01)
JTB、14年度は増収増益へ-法人好調、DMC本格展開も(14/06/01)
JTB、サンルートを相鉄HDに売却-「旅行事業に専念」で(14/06/01)

第2位
トップインタビュー:楽天執行役員トラベル事業長の山本考伸氏(14/06/05)

第3位
4月国際線、ANAがJAL超え、運航規模で-旅客数・利用率はJAL(14/06/03)

第4位
エアアジア、運賃無料キャンペーンを実施、Xもセール実施(14/06/03)

第5位
MIATモンゴル航空、羽田発着チャーター計画、8月から10月下旬で(14/06/05)

第6位
全日空、客室乗務員の既卒募集、100名程度-国際線強化で(14/06/04)

第7位
外国人に人気の観光地ランキング、1位は伏見稲荷大社(14/06/04)

第8位
エア・ドゥ、初の国際チャーター、11月に台北2往復計画(14/06/01)

第9位
バニラエア、JJモデル起用などで若い女性へアピール強化(14/06/04)

第10位
日韓の文化交流で需要喚起を-韓国でN響公演、ANTA二階氏ら参加(14/06/02)