東京港、2028年の利用者50.2万人へ-新ふ頭で超大型客船対応へ

  • 2014年1月16日

 東京都港湾局は1月16日、「東京クルーズビジョン」を策定し、東京港の2020年、2028年のクルーズ客船年間誘致目標を設定した。20年の目標は、クルーズ客船利用客数が21万人、クルーズ客船利用回数が113回。28年の利用客数は50万2000人、利用回数は280回とした。目標達成のため、世界最大級の大型客船に対応可能な新客船ふ頭を臨海副都心に整備し、20年の東京オリンピック・パラリンピック開催を見据え、2019年中の開業をめざす。さらに、新客船ふ頭をフックに重点的なピーアール活動を展開し、クルーズ客船の誘致の強化もはかる。

 東京クルーズビジョンは、東京港がクルーズ客船の拠点として国内外から多くの来訪者を呼び込み、クルーズの大きな経済効果を取り込むとともに、臨海副都心のMICEや国際観光の拠点化推進をはかるためのもの。策定に際し、学識経験者や東京港利用者、関係行政機関などで構成する検討委員会を設置し、幅広く意見を集約した。

 港湾局によると、世界のクルーズ市場は過去20年で4倍に増加。1990年は462万5000人だったが、2010年は1749万5000人まで拡大した。日本のクルーズ市場も12年は前年比16.2%増の21万7000人となり、クルーズ客船寄港回数は初の1000回超えの1105回を記録した。こうした状況のなか、クルーズ市場の傾向として、大型客船で低価格商品を提供し市場拡大をはかる戦略が主流となり、客船の大型化が急速に進行しているという。

 現在東京港では晴海客船ふ頭でクルーズ客船を受け入れているが、レインボーブリッジの下を通過できない大型客船は大井水産物ふ頭で臨時に対応している。港湾局によると、レインボーブリッジの軒下高制限である52メートルを上回る大型客船は年々増加しているが、大井水産物ふ頭は本来貨物専用であるため土日祝日しか対応できない。さらに、14万総トン数を超える大きさの船は受け入れられないことや、周辺の公共交通機関が不十分などの課題もあるという。

 このため、今後は臨海副都心の青海コンテナふ頭北側水域に新客船ふ頭を整備し、客船受け入れ施設の機能強化をはかる計画だ。新客船ふ頭には22万総トン級の大型クルーズ客船の発着や、2隻以上の同時着岸に対応可能な係留施設を設置。また、CIQやチェックインなど22万総トンに十分に対応できるスペースを有する新客船ターミナルも建設し、シャトルバス乗り場、駐車場などの付帯設備や商業施設なども検討していく。

 また、セグメント別の対策も実施。日本籍船に対しては、安定した寄港回数確保のため母港化の推進をはかる。また、外国籍船については、乗客数1000人規模の大型クルーズ客船の発着、寄港の促進に加え、交通アクセスの利便性を活かしたフライ&クルーズの積極的な誘致をおこなっていく。

 さらに、新客船ふ頭供用開始を見据えてピーアール活動を強化する。東京ならではの強みである交通アクセスの充実や、都心に近く都内の観光やショッピングなど観光資源が豊富な点、首都圏4000万人の人口が集積しており、潜在需要が高いことなどをアピール。新客船ふ頭の整備を前提とした将来像を訴えることで、積極的に誘致をはたらきかけていく。